しかも、今回の両候補の最大の対立軸は、他党との連携や協力の在り方、是非である。代表選での争点が、理念や政策ではなく、他党との連携であるということは、この代表選がまさに旧民主系内の勢力争いであるということの証左であろう。旧維新系の井出議員は、「誰と組むかの前に、何をやるか」、つまり具体的な政策を問おうとしていた。だが両候補は「誰と組むか」を優先しているようだ。
加えて指摘すれば、「誰と組むか」を優先するということは、民進党は自らの足では立っていられず、誰か強そうな相手と組まなければ浮揚できない、と公言しているに等しい。
前原議員は小池都政に一定の評価
この「誰と組むか」という話は、
(1)共産党などの野党共闘の継続の是非、
(2)小池都知事が事実上率いる地域政党「都民ファーストの会」や政治団体「日本ファーストの会」との連携の是非
という2つに分けられる。
21日の出馬表明の共同記者会見では、(1)について、前原議員は否定的な態度を示した一方、枝野議員は「理念・政策、主体性をしっかり守った中で、できないことはできない、しかしできることはできる、それがどこなのか、最大限の努力をしたい」と前向きな姿勢を示した。
次に(2)については、枝野議員は、「自民党の補完勢力の可能性が高いと見ざるを得ない」と明確に否定的な姿勢を示した。他方、前原議員は小池都政に一定の評価を示し、「日本ファーストの会」の政策や理念が不明であるとしたものの、政策や理念が一致するところとは協力をしていくとし、否定はせず、前向きな態度を示した。
だが「小池新党」はまだできていない。「日本ファーストの会」はあくまでも若狭勝衆院議員の政治団体であって、政党ではない。小池知事や若狭議員の真意は、様子見をするための「撒き餌」といったものだろう。政党ではない以上、政策も基本方針もない。したがって、現段階では動きを冷静に見極めるというのが得策であるし常道である。前原議員が、前のめりに連携や協力について口にするのは、将来敵になるかもしれない相手に手の内や弱みを見せることと同じであり、それは実際に連携する場合に足元を見られることにつながる。