どのレベルを目指すかを明確にすべき
【三宅】英語学習において、自分の興味がないものをやるほど、つまらないものはないわけです。バラエティーに富んでいるというのは、自分に興味があるものが、必ず紙面のどこかにあるということになりますよね。
【高橋】極端な言い方かもしれませんが、「全部読むのだけはやめてください」と私はアドバイスしています。毎週、読破しようと思ったらつらくなります。英語力うんぬんの前に時間がないと読破することができないですから。
よく読者の方から「今週は2ページも残してしまいました。申し訳ございません」といったメールを受け取るんですけど、「いいですよ」と。興味のないものを無理して1本読むなら、興味のあるものを3本読んでくださいというのが、われわれの立場です。
全ページで8000語ぐらいの英文が載っているんです。それが全部読めれば、理想ですけれども、私としては最初のうちは1000語でいいと思っています。ですから、8分の1でいい。余裕のある人でも2000語。4分の1ぐらいで結構ですから、まずは興味や関心に合ったものから読んでいただきたいですね。
【三宅】英字新聞で学習する際、自分の気に入った記事を繰り返し声に出して読むというのはどうでしょうか。興味のないものを声に出して読めと言われても、大変ですが、興味のある記事を繰り返し読む。声に出して読むと、だんだんと使えるレベルに近づくということがありますよね。
【高橋】非常にいいと思います。私はとにかく辞書を引かずにサッと読んでくださいと言っているんですけど、反対に週に1本でいいから、しっかり辞書を引きながら読むことも英語力のアップには必要です。そのとき、三宅社長がおっしゃったように音読までするとさらに効果的です。
編集部の推薦ページは「エッセイ」です。現在は、いろんな国籍のネイティブ・ライターが執筆していますが、アメリカ人やカナダ人、ニュージーランド人、シンガポール人など、非常に厳しい基準でライターを選考しています。また、大学入試問題にもよく採用されています。手前味噌ですけれども、やっぱりこれぞ英語の名文というのを載せていますので、ここはじっくりと読んでいただきたい。
その際、ぜひ行ってほしいのが「サマライジング」、いわゆる要約です。英文記事を読んだら、3文でいいから、それを自分の言葉で英語にしてみると。これ、難しいようで、意外とそうでもないんです。
【三宅】実際に実力がつく効果的な学習法ですね。すべての英語学習者に勧めたい。最近、英語学習についてはさまざまなメソッドが流行していますが、こうした状況をどうみますか。
【高橋】私が気になるのは「こうすれば英語が身につく」とか、「話せるようになる」というキャッチコピーがありますが、何をもって身についたというのか、また、どのレベルになったら話せると言えるのかを明確にしない教材が多いということ。
また、趣味として英語をやりたいだけなのか、実際に上達したいのかが曖昧なケースが多いです。「上達したい」と言うものの、やっていることは趣味の域を出ていない人が見受けられます。スポーツであれば目的が「趣味」なのか「上達」なのかがはっきり分かれていますよね。英語でも上達を目指すなら、それなりのことをしなければならないという意識を持つべきです。
【三宅】どのレベルを目指すのか、教える側も教わる側も明確にするべきですね。
【高橋】英語がレクリエーションでも、もちろんいいです。しかし、留学するとか、入試や就職などの試験で何点以上を狙うというのであれば、「これだけのレベルは必要だ」と伝えるべきでしょう。私の周囲でも「やっぱりそうだと思っていたけど、言ってもらって納得した」という声はすごく多いです。
【三宅】自分の英語がどのレベルかを知ることをこわがってはいけない。ショックを受けるかもしれません。しかし、ある意味では、そこからが本当の英語学習のスタートです。