愛媛新聞は外務省の更迭人事にも言及

さらに「第2次安倍政権下の2014年5月、内閣人事局が各省庁の幹部人事を管理する仕組みができ、政権に近い幹部の登用が進んだ。逆に、菅義偉官房長官が創設を主導したふるさと納税への規制緩和に反対した総務省幹部の昇任が拒否されるなど、官邸の意向に逆らった幹部が冷遇されるケースもある」と今回の朝日社説が取り上げていない点もしっかりと指摘している。

また「先月、森本康敬釜山総領事が退任となった。約1年での交代は異例。安倍政権の対韓外交を私的な会合で批判したことがとがめられての、事実上の更迭とみられる」と外務省人事でも官邸の意向とみられる更迭人事があったことを挙げ、「森本氏は慰安婦像設置に対する韓国への抗議で駐韓大使とともに一時帰国しており、日本にいることへの不満を漏らしただけだという。私的会合での発言が官邸に筒抜けだったことも驚きだが、そうした場でさえ批判は許さないと言わんばかりの政府の姿勢は、本来国民のために働くべき官僚を一層萎縮させるに違いない」と書く。

この更迭人事問題では、森本氏の「私的会合」が新聞社やテレビ局の記者たちとの会合だったことから、一部のマスコミが森本氏の発言を官邸に「ご注進した」という情報もある。仮にそうであるとするならば、記者の取材者としての倫理が問われることになる。事実が明らかになったときにはプレジデントオンラインのこの欄で詳しく取り上げたい。

北海道新聞も「政権事情優先」を批判

国税庁長官人事の問題に戻るが、北海道新聞も7月6日付の社説「閉会中審査 疑念解消への入り口に」の後半でこう書いている。

「菅義偉官房長官は『適材適所』と述べたが、疑念が残る中での交代に国民は納得するだろうか。安倍政権は、稲田朋美防衛相が都議選の応援で自衛隊法に抵触しかねない発言をした問題でも、世論の批判をよそに続投を決めた。民意よりも政権の事情が優先なのか。国会でただす必要がある」

いまの「1強」という権力を握った安倍政権は、道新社説が指摘するように「民意よりも政権の事情が優先される」のである。だからこそ、いま権力を監視するというメディアの役割が厳しく問われている。

(写真=時事通信フォト)
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