「独立」の政治家が時代の潮目に成すべきこと

では、なぜこのタイミングで離党したのか? 第1に、今年6月に行われる都議選が野党再編の大きな転機になるのは間違いないということ。都議選は、緊張感が緩みスキャンダルがいくつも露呈してきた安倍政権に対する批判票も取り込んで、小池都知事率いる都民ファーストの会が圧勝するだろう。組織力のある自民党は善戦するかもしれないが、民進党も日本維新の会も惨敗必至の情勢だ。

都議選後に起こるのは、野党再編だ。そして、そこからポスト安倍の政局が始まる。その政局で主導権を握るためには、どうしても野党を分解して、健全な野党勢力を再結集しなければならない。確かに次期総選挙だけを考えれば、野党共闘には選挙戦術として一定の合理性はある。しかし、それはあくまで選挙戦術であり、政権戦略ではない。共産党は社民党以上に独特かつ強固な世界観を持っている。閣外なり閣内で連合を組んだ場合、どれほどの混乱が起きるかは、火を見るより明らかだ。だから、国民はそういう野合に投票しないだろう。

時代を画する選挙となりうる都議選を前にして、政治家として何をすべきか。化学反応を誘発できればという思いで、私は民進党離党という引き金を引いた。

独立してから、まず民進党保守系、維新の会、そして無所属議員たちと、超党派の勉強会「外交安全保障戦略を考える会」を立ち上げた。外交安全保障政策について、野党からは政権に対する全否定しか聞こえてこないが、それでは議論は深まらない。求められているのは、ポジティブで建設的な、安倍政権の政策をよりよいかたちに修正できる政策パッケージだ。「考える会」は、現状維持の政権与党にも、イデオロギーにとらわれている左傾化した野党にも出せない現実的な外交安全保障政策を提言したい。

共産党以外にまとまることができる野党といえば民進党と維新しかない。そこをつなげるのは、今、私にしかできない。小池百合子都知事や自民党からのアプローチもあるが、私自身は当面は「独立」した政治家としてやっていくつもりだ。次期総選挙は相当に厳しいものになるだろうが、戦う覚悟はある。選挙に勝つために自分の考えを押し込めるのはもうやめた。保守政治家として、主張すべきことを主張して選挙に勝つ。そう考えたとき、私の心は晴れ渡った。

「日米安保があるから、日本独自の力は必要ではない」という主張を聞くたびに、その驚くべき対米依存体質に強烈な違和感を持ってきた。というのも、独自の力を持たず、一方的に頼るだけの国が、真の同盟パートナーたりうるはずがないからだ。

また、アメリカが日本の期待通りに動いてくれない、動くことができない場合に、即座にお手上げになるようでは話にならない。だから、日本独自の国防努力が必要になる。我が国の目と鼻の先にあり、多くの日本企業とともに常時6万人以上の邦人が滞在する韓国が巻き込まれる朝鮮半島有事の時でさえ、「アメリカ任せで、日本は後方支援だけやっておけばいい」という考えは、アメリカ一極世界だった90年代ならまだしも、今や通用しない。

日に日に緊迫の度を増す北朝鮮のミサイル・核問題については、なおさらだ。日米はミサイル防衛に共同で取り組んでいる。ミサイルは1発だけ。しかも、いつ、どこへ向けて発射するという予告まであった数年前とは違い、いまや北朝鮮のミサイルは、いつでも、どこからでも、事前探知をかいくぐって、何発でもほぼ同時に飛んでくるようになった。ここ数年の技術進歩は目覚ましいものがある。このような飽和攻撃を前にして、90年代半ば以降、日米で営々と築いてきた共同のミサイル防衛システムはほとんど時代遅れの遺物になりかねない状況だ。ではどうするか。ミサイル防衛システムをさらにアップグレードしていくのは当然だが、それだけでなく、ミサイルを撃たれっ放しにならないような方法を、新たな打撃力も含め日本が独自で考えなければならない。