外交力を裏付ける力なしに、現状を打破することは不可能

日本が独自の力を持とうとしないために、外交でも日本が世界中から侮られる現状がある。リベラルの皆さんは「日本は外交や対話を中心にやるべきだ」と主張する。しかし、外交も力の裏付けがなかったら相手に舐められて終わりだ。平和憲法を遵守せよというのは聞こえはいいが、外交力を発揮しようとしても力の裏付けがなければ、我が国の国益も領土も国民の命も守れない。

対話による解決を模索してきた北朝鮮による拉致問題だが、遅々として進まない原因はそこにある。北朝鮮が真面目に交渉のテーブルにつかないのは、今までの交渉でいやというほどに思い知らされている。だから、圧力をかける必要があるのだが、日本は経済制裁のみで、それを裏付ける力がない。交渉のテコがないから、「お願いします」といくら頭を下げたところで、無視されるか、さらなる譲歩を引き出されるだけだ。

北朝鮮だけではなく、ロシア中国、場合によっては同盟国のアメリカに対しても、足元を見られないだけの力を見せる瞬間がなければ、対等な関係など夢のまた夢である。

国内では、タカ派だ、強硬だ、といわれている安倍政権だが、対露交渉でも、力の裏付けがないばかりに、とにかく頭を下げて経済協力によって活路を見出そうとしているように見える。その結果、信頼関係が醸成できたというならまだいいのだが、完全にロシアから見下されているのが現実だ。日本政府はロシアとの友好関係を演出しているつもりかもしれないが、領土問題はほとんど進展していないではないか。

安倍首相とプーチン大統領との間に確かな信頼関係があれば、「北朝鮮に対して、一緒に圧力をかけよう」と戦略的な協力を呼びかけることも可能だし、ロシアの協力は、アメリカにとってもプラスになることなのだが……。

ただ、そのすべてを安倍首相のせいにするのはさすがにフェアではない。日本が戦後ずっと外交や安全保障をなおざりにしてきたツケだ。

日本を取り巻く情勢は相当厳しい。結局、外交を支える力を持てない限りは、国民が納得できるような外交を展開できないのが日本の現状なのである。

※『PRESIDENT』2017年7.3号収録記事をもとに加筆・増補した

衆議院議員 長島昭久(ながしま・あきひさ)
1962年生まれ。内閣総理大臣補佐官、防衛副大臣、民進党東京都連幹事長などを歴任。2017年4月民主党を離党。現在は無所属。慶應義塾大学で修士号(憲法学)、米ジョンズ・ホプキンス大学SAISで修士号(国際関係論)取得。現在、衆議院文科委員会委員、子どもの貧困対策推進議連幹事長、日本スケート連盟副会長兼国際局長、日本体育協会理事。