転職後は「インサイダーの英語」に変える

すでにビジネス英語ができる人も、転職して新しい職場に移ったら、その職場で使われている英語にカスタマイズする必要があります。

業界や会社によって、話されたり、メールで書かれたりする表現には違いがあるからです。その会社のカルチャー、家風といってもいいでしょう。

新しい環境に移ったら、そこにふさわしい英語にバージョン変更する。それは新しい環境に一日も早く溶け込んで、高いパフォーマンスを発揮するために、大切なことです。

これまでいくつかの会社で働いてきましたが、会計事務所、金融、コンサルティングファーム、事業会社と業界が異なると、そこで使われている英語表現も微妙に違うのです。

電子メールの書き方も、かなり異なります。たとえば、一つの文の長さと一行の長さに関して、外資系会計ファームは一文が長く、横にも長いものが好まれました。

外資系コンサルティングファームでは文面も箇条書きで書いて、余計なことは書かないのがよしとされました。

ところが外資系事業会社だと、一行の長さは10センチ程度にして、行替えを頻繁に入れることを求められたのです。印刷した場合、内容が一ページ以内におさまるのが望ましいとされました。

文面についても、物事の依頼や〆切りの確認の時は、「お忙しい中、申しわけないですが、これとこれをやってください」という感じで、少し感情を込めたほうがいい。

外資系企業のメールは、「短く、簡潔に」と一般には思われています。そして確かに日本の会社でやりとりされるメールに比べたら、どこも短いと思いますが、それでも会社によって「お作法」はかなり違います。

事業会社で働き始めて最初に書いたメールですが、上司から「言っていることは正しいし、ロジックも合っているけど、第三者っぽい」と言われて、なるほどと納得しました。

「あなたも社内の人なのだから、読んだ人の気持ちなどを考えた内部の人らしい英語にしないとダメだ」とその人からはアドバイスをいただきました。

英文として正しくても、それでよいというわけではないのです。ビジネス英語は第一に「働いているところで使われている英語」なので、社内の英語つまり、「インサイダーの英語」を身につけて使っていくことが大事です。