高みの見物はNG! 視点を変えて挑戦を
新年度最初の平日となった4月3日、日本各地で入社式が行われました。桜が咲き始めるなか、全国のフレッシュマン&ウーマンたちが志を胸に、新しい一歩を踏み出したことと思います。
池袋の東京芸術劇場では、新東京都職員に辞令を交付する「入都式」が行われました。企業の場合は「入社式」ですが、都職員の場合は、都(みやこ)に入ると書いて、「入都式」と呼びます。
今年は昨年より200人ほど多い2263人を新たに採用しました。警視庁、消防庁、学校教員なども含めると、7000人を超える人々が、新たに都の職員としてスタートを切ったわけです。彼らは私が東京都知事として初めて迎える新入職員です。「東京大改革」という目標に向かい、共に働けることを心より嬉しく思っています。
入学、入社、入庁、異動など、春は大切な節目の季節です。入都式では、チャレンジすることの大切さをお話ししました。
都政などの行政、いえ、どんな仕事においてもそうですが、新しいことにチャレンジするために、3つの目が必要です。すなわち「鳥の目」「虫の目」「魚の目」です。
高い空を自由に舞う鳥のように、世界や日本が現在置かれている状況を俯瞰する「鳥の目」を持ち、同時に地上に近づき都民一人一人の生活を眺める「虫の目」も持つ。そして流れる川を泳ぐ魚のように、社会全体の変化をとらえる「魚の目」も備える。この3つの目を意識して、新しい時代を切り拓いていってもらいたいと思います。
世界を見渡すと、米国におけるトランプ政権の発足、英国のEU離脱、シリア内戦と難民問題、世界中で頻発するテロ活動や、北朝鮮問題など課題は山積みです。島国、日本に住む我々は、ともすると、どこか高みの見物のような感覚に陥りがちですが、日本の発展は世界情勢と無縁ではありえません。わが国は、内向きに引きこもるのではなく、あえて外へ打って出るくらいの戦略が必要でしょう。
私は、東京をアジアナンバーワンの国際金融都市にするという目標を掲げています。2020年にはオリンピックも控えています。
一方で、オリンピックの5年後の25年には、日本は人口のピークを迎えます。いわゆる「2025年問題」です。国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という超高齢化社会に突入し、都政も立て直しが迫られます。
子供を保育園に預けられずにキャリアを断念せざるをえない女性、介護離職を余儀なくされる人も多くいます。特に東京などの都市部では、子育てや介護問題が待ったなしの状況です。東京は、ハード面こそ充実しているものの、さまざまなソフト面がまだまだ発展途上で、それらを1つずつ解決していくことが、都職員に期待されている役割だと思っています。
実は今回採用した都職員のうち、4割以上が女性職員です。特に女性を優遇したわけではなく、成績を重視し、丁寧な面接で採用を決めたところ、この数字になりました。現在、都庁の管理職の2割はすでに女性が占めています。係長クラスになると3割以上です。これは一般企業に比べ、かなり高い比率ではないでしょうか。将来的には管理職の3割は女性にしたいと、女性職員を激励しています。
女性を多く登用することのメリットは大きく、女性ならではの生活者目線、スキル、意識を持ち、机上の空論ではない実践的な改革案を示してくれることでしょう。もちろん、男性職員は、「女性に負けじ」と、これまで以上にがんばることでしょう。