日本の政界で活躍する女性リーダーがなかなか増えない理由

「私は優秀で、かつ○○さんに認められている数少ない女だからここにいる権利があるのよ」という本音や自負がじわりと滲む……ような。いや、優秀なのはその通りなのだけれど、「○○さんに好かれている」のが条件だと自分で認めてしまっている時点で、やっぱり「○○さんの寵愛」を奪い合う大奥めいていて、十分に時代錯誤だ。

先ほど触れたようにまさにこういう大奥型の女性こそがこれまで「出世」する女性人材の中では「王道」だったので、女同士で牽制する結果となり、社会で出世・活躍する女性の母数が増えなかったという一面は、確実に存在する。

南スーダンでのPKOをめぐる国会答弁に始まり、森友関連でも失策が続いたとして、「防衛大臣失格」の声も聞こえ始めた稲田朋美氏。北朝鮮による弾道ミサイル発射など、予見不可能なトランピズム下で極東の緊張も高まるいま、政治家として生き残るためには、“寵愛”を根拠に甘さを赦される“大奥”的な政治生活を脱却してほしい。遅かれ早かれ退場するシニア権力者の方を向いた「甘い女(御年58)」でなく、現実を向いた「辛(から)い女」となって男の人気でなく女たちの尊敬を勝ち取れば、今後、『シンゴジラ』で「総理、撃ちますかッ!?」と冷徹に攻撃命令発令を迫った花森防衛大臣へ、あるいは老いた政敵たる石原慎太郎氏を容赦なく公の場に引きずり出して「過去の悪人」にした策士・小池百合子氏の後継へと、見事に生まれ変わる……のかもしれない。

河崎環(かわさき・たまき)
1973年京都生まれ、神奈川育ち。乙女座B型。桜蔭学園中高から転勤で大阪府立高へ転校。慶應義塾大学総合政策学部に入学。奥出直人教授のもとで文化人類学・比較メディア論を、榊原清則教授のもとでイノベーション論を学ぶ。大学の研究者になることを志し、ニューヨーク大学ビジネススクールの合格も手にしていたが、子供を授かり学生結婚後、子育てに従事。家族の海外駐在に帯同して欧州2カ国(スイス、英国ロンドン)での暮らしを経て帰国後、Webメディア、新聞雑誌、企業オウンドメディア、テレビ・ラジオなどに寄稿・出演多数。教育・子育て、グローバル政治経済、デザインそのほか多岐にわたる分野での記事・コラム執筆を続け、政府広報誌や行政白書にも参加する。子どもは、20歳の長女、11歳の長男の2人。著書に『女子の生き様は顔に出る』(プレジデント社)。
(AP/アフロ=写真)
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