これは難題です。一般に、セックスレスとは、単身赴任や病気など特殊な事情がないにもかかわらず、セックスだけでなく、キスや裸で触れあうことが1カ月以上ないことを指します。1カ月はやがて3カ月、6カ月と自然に延びていくもの。間隔が開くほど、再開するのは照れくさくて面倒になるので、できるだけ早めに手を打ちたいですね。

50代は約7割がセックスレス

50代は約7割がセックスレス

しかし、セックスレスのカップルが、いきなりセックスを再開しようとするのは敷居が高すぎます。ゆっくりと段階を追って気持ちを盛り上げていく。セックスは男女の高度なコミュニケーションです。英国の動物学者デズモンド・モリスは、そこに至るまでには「12段階の触れあい」があると論じています。

モリスによると、第1段階は「目から体」で、相手を観察していいなあと思うこと。その次は、視線をぶつけあってお互いを異性として意識する「目から目」。第3段階は語り合う「声から声」で、そこから「手から手」「腕から肩」「腕から腰」と触れていって、第7段階でやっとキスをする「口から口」。その後も「手から頭」「手から体」「口から胸」「手から性器」へとステップを踏んで、最後に「性器から性器」。つまり、セックスまで至るのに何週間もかかるのは当たり前なのです。

はじめは2人の時間を極力つくって、映画やドライブを楽しむ。家でテレビを見るときは肩が触れあうくらいの位置に座って相手の呼吸を間近で感じる。爪を切ってあげて、マッサージしあうのもいいでしょう。

大切なのは、恋愛時代に辿った道筋を再現すること。久しく途絶えていた笑いが2人の間に戻ってきたら、しめたもの。時には言い争いが起こるかもしれませんが、喧嘩できる関係を回復したということ。まずはセックスにこだわらない触れあいの時間を楽しむのです。

(構成=小檜山 想)