親が無理強いすると没頭体質の子にならない

我が子を「没頭する子供」に育てる親の特徴5
○子供の主体性を認めている

さて、先に「選択肢の提示はどんな理由でも結構」と書きました。しかし、「選択のさせ方」は慎重になる必要があります。

キーワードは「主体性」です。

「選択肢」の言葉の指す通り、子供自身が本当に選べることが大切なのです。つまり「やらない」という選択肢も認めることが最重要ポイントになります。ここがきちんと認められるからこそ、「お母さんがやらせたいから」というような、一見、親の身勝手と思えるような理由でもOKということになるのです(これは、教室で教師が子供に何かやろうと呼びかける時にも当てはまる話です)。

子供に選ばせる時に、親が無意識に「誘導」していないか細心の注意を払う必要があります。周りに「いい子」と評判の子供ほど、大好きな親の「無言の期待」に背いて傷つけてはいけない、期待に応えようと思っています。すると、無意識に自分に嘘をついて「やりたい」と言うことがあるからです。

また、選ばせる際に「やるからにはずっと続ける」ことを強要しないことも大切です。真剣に考える子供であればあるほど、いい加減に返事はできません。だから「やってみて、すぐ続けたくなくなるようならやめさせる」と親が腹をくくっている方が、子供は心理的にも思い切ってチャレンジすることができます。

なぜ、(すぐ続けたくなくなるようなら)やめさせるのか、その理由もきちんと伝えておくと良いです。その際、習い事における「大切なお金と時間を費やす」というコストの側面についても子供に教えることができます。

没頭して続けられるかどうかは、やってみた上での「結果」。要は、ペットを飼う時と同じで、結局子供では(続けられるかどうか)責任を取ることはできません。「絶対きちんと最後まで私が世話をする!」と自信満々で約束しても、ほぼ確実に親が面倒を見るはめになります。だから、心理的に子供に負担のかかる約束はさせないことです。

そうした親のプレッシャーのない状況で子供が「やる」と選んだものは、主体的に選んだとみなし、可能性の芽があると見ていいかもしれません。ただし、それはあくまでも「芽がある」程度。親の側は、他の選択肢もあり得るという頭で構えている必要があります。

結局、何かに没頭する子供というのは、できるだけの多くの体験をし、多くの人物に出会って、自分自身で選択の決定をしている子供ということになります。自分で選んだことなら、没頭できます。

豊かな体験や感動体験が大切といわれる所以です。没頭できる子供の家庭では、自然遊びや家族での旅行が多い理由も頷けます。主体的に選ぶ力があって、何かに没頭する力があります。

それに出会わせられるかどうかは、運任せでなく、親ができることがあるということ。その努力と工夫があった上で、最終的に子供が選び取るのです。そのために、まず親や教師といった大人が主体的に動き始めることが大事なのでしょう。

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