粘り強く気長に待つ姿勢はどう養うのか?
【3.気長になる視点】
逆に気長に粘り強く、気が熟すまで待つ観点はどのように養えばいいでしょうか。
(A)成果の最大化(気長の視点編)
組織にとって顧客にとって「新しい価値」とは何か? を考えたときに有効なのは、新しいサービスを開発すること、新しい事業をスタートすること、全く新しいやり方でアプローチすること、だと言われています。
しかし、往々にしてこういう新しい試みは、成果が見えづらく評価されるのに時間がかかります。新規事業はどの会社でも、1年目は大混乱でコストばかりかかり、2年目でようやく芽が出てきて、3年目で花開くといったプロセスを経ることが多いです。
正直、1年目や2年目は投入した努力に対する結果が乏しく、「本当にこれをやっていていいのか?」「やめたほうがいいのではないか?」という疑念や迷い・不安に駆られることがあります。
しかし、ビジョンと価値観に立ち戻り「必ず意味がある」「徐々にヒントは見つかる」と心に決めて突き進むことで、ようやく成果が出てきます。
気長の戦略は、努力に対する成果の現れを中期の視点で考えることです。日々の行動に対しては短気になり必ずやる、でも、成果は急がないという二段心構えです。
(B)部下育成(気長の視点編)
上司が3年間粘り強く関わって変わってくる部下もいれば、たった3カ月で急成長していく部下もいます。育成ポイントに、マインド面・スキル面・知識面があるとすると、知識は比較的簡単に伸びますが、多くのスキルは3カ月やり続けて習慣化します。さらにマインド・思考面は6カ月以上かけてようやく少しずつ変化していくケースが多いものです。
部下育成に短気になると、上司のフラストレーションは膨大になります。そうならないためにも、マインド面には気長の戦略で取り組むことが重要です。飲みニケーションや日々の会話の積み重ねで、少しずつ積み上げていく視点も重要です。上司と部下の信頼関係が築かれ、“呼吸”ができてはじめて育成環境が整うのです。
(C)生産性向上(気長の視点編)
業務をよりよく効率化するための要因には、自分要因と環境要因があります。特に、環境要因は重要です。ネックは環境要因が7割と言っても過言ではない職場も多いものです。例えば、職場に早く帰る風土がない、生産性を評価する制度がない、業務プロセスに無駄があるなど、一人では解決しない問題も多数存在します。
組織に貢献するビジネスパーソンになるためには、これらを他人事で見るのではなく自分ごととして見ることです。変革の音頭をとっていく旗振り役が必要です。
ただし、取り組みには多くの人の説得や巻き込みが必要で、ときに数年かけて徐々に風土や意識を変えていく取り組みも多いものです。その結果が出るまで粘り強く取り組む気長のマインドがなければ、途中で心が折れてしまい、真の変革にたどり着きません。
とはいえ、多くの変革は「たった一人の熱狂」から生まれます。ぜひ、これを読んでいるあなたがその一人になることを願っております。
以上、短気と気長の視点で解説してきました。両方を併せ持つという思考・行動習慣の参考になれば幸いです。