また、最近の相談で増えているのが妻の実家の近くに家を買ったものの、離婚してしまうというケースです。多くの場合、妻は子供を連れて実家に戻り、残った家には夫が住むことになります。妻子がいなくなった家に夫一人でぽつんと暮らすのは相当辛いでしょう。実家が近いゆえ、妻子とばったり出くわすのが嫌で外出しなくなった、隣近所から同情されている気がする……、などと話す方もいます。あまりの辛さから、売却価格とローン残高の不足分を高金利のフリーローンで賄い、自宅売却に踏み切る人もいます。

ローンが残った状態で売却する「任意売却」という方法もありますが、金融機関の承諾が必要ですし、残ったローンは返し続けなければなりません。ほとんどの場合はブラックリストに載ります。

では、こういった事態に陥らないようにするにはどうすればいいか。危険なのはオーバーローンですから、住宅ローンがどれだけ残っているか、自宅はどのくらいで売却できそうか、周辺相場などから探ってみてください。オーバーローンなら、繰り上げ返済でローンを減らす、貯蓄を増やしておく、などの対策が必要です。これから買うなら、頭金を2~3割程度用意し、借入額を抑えるのが理想的です。

そして、もしも窮地に追い込まれた場合でも、思い詰めたり、悲しい決断をしたりする必要はありません。債務整理などなんらかの方法はありますから、一人で背負わず、専門家などに相談しましょう。

そもそも離婚しなければ問題は起きないわけですから、夫婦円満をキープする努力も忘れずに。DV、浮気など、明らかな非があると不利な立場に追い込まれます。妻から離婚を切り出されて青天の霹靂、という人も少なくないので、円満と思っているのは自分だけ、ということのないようお気をつけください。

(構成=高橋晴美)
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