西側との関係悪化でアジア重視にシフト

「北方領土問題」は日本とロシアの間で、半世紀以上にわたり未解決のままです。しかし、ここにきて第四代ロシア連邦大統領ウラジーミル・プーチンが、大きく踏み込んだ発言をしたことが話題を集めました。2014年5月にロシアのサンクトペテルブルクで開催された国際経済フォーラムにて、プーチンが「歯舞、色丹の二島だけでなく、国後島、択捉島を含む四島が交渉の対象である」と発言したのです。

これまでロシアは、北方領土は第二次世界大戦の結果得た領土であり、この問題は「決着済み」という立場でした。ところがプーチンは、12年3月に大統領に再選される頃から「日本との領土交渉を引き分けで決着する用意がある」というメッセージを発信しています。また興味深いことに「北方領土はロシアの固有の領土だ」とは一度も発言していないのです。