台頭する中国に潜む強さのなかの弱さ

 領土問題は、その時々の国際政局をくっきりと映し出す「鏡」である。旺盛な国力を誇り、果敢なリーダーを擁する国家は、領土を押し広げようと攻勢に転じる。一方で、国力が傾きかけ、優柔不断な指導者しかいない国家は、領土交渉でも守勢に立たされる。いまの日本は、中国とは尖閣諸島、韓国とは竹島、ロシアとは北方四島(択捉島、国後島、色丹島、歯舞諸島)をめぐる領土紛争を抱えている。中・韓・ロの各国は、領土交渉に臨む日本の姿勢から日本の底力を推し測ろうとしている。

尖閣諸島は、日本が一貫して実効支配をしてきた事実は一度として揺らいだことがない。にもかかわらず、中国は突如として領有権を声高に主張し始めた。国連の調査で周辺の海域に石油資源が眠っていることが明らかになったからだ。

日中両国は、国交回復にあたって、あえて尖閣諸島の帰属を議題にしようとしなかった。解決を将来の世代に委ねることを暗黙の了解としていたからだ。当時の中国は、文化大革命で疲弊し、国際的にも孤立していた。国際社会への復帰を急ぐためには、隣国日本との領土紛争を避けたかったのだろう。