タブーに挑戦! 子供の「道徳力」を数値化した
教育の役割は、社会生活に必要な能力を子どもに授けることですが、その能力は「知・徳・体」の3つの側面から捉えられます。
教育評価の一環として、これらの要素が数値化されるのですが、知と体については、全国学力テストや体力テストにて毎年計測されています。しかし、あと一つの「徳」については、それを測った客観資料は存在しません。
そもそも道徳の評価に際しては、「数値などによる評価は行わない」とされています(学習指導要領)。昨年の学習指導要領一部改訂で道徳が教科となり、文科省の検定教科書が使われることになりましたが、数値による評価は行わない方針はそのままです。
当然といえばそうですが、この面の資質を定量化することができないわけではありません。
今回は、このタブーの領域に足を踏み入れてみようと思います。小学生の道徳意識スコアを都道府県別に出してみましょう。県別の学力はよく取り上げられますが、「徳」力のほうはどうか。
用いるのは、2014年度の文科省『全国学力・学習状況調査』のデータです。本調査は教科の学力だけでなく、対象の児童・生徒(小6、中3)の生活意識も把握しています。
私は、以下の5つの問いに対する、公立小学校6年生の回答に注目しました。
(1)学校の決まりを守っているか。
(2)友達との約束を守っているか。
(3)人の気持ちが分かる人間になりたいか。
(4)いじめは、どんな理由があってもいけないことだと思うか。
(5)人の役に立つ人間になりたいか。
回答の程度尺度は4つですが、「当てはまる」という最も強い肯定の回答をした児童の比率を拾います。全国の数値でいうと、(1)は39.9%、(2)は67.7%、(3)は74.1%、(4)は82.1%、(5)は72.0%です。