敵はハンバーガー業界外にもいる

ここで、マクドナルドの直営店及び加盟店を合わせた全店舗の売上高及び店舗数について10年間の推移で見てみましょう。グラフの左軸が売上、右軸が店舗数となります。

全店舗売上は2010年12月にピークの5427億円を記録し、国内の外食産業では初の快挙を成し遂げたもののその後は減少の一途をたどり、2015年12月期では3765億円となりました。そして店舗数は4000店舗近くあったのが3000店舗弱まで落ち込んでいます。ただし、マクドナルドは単に赤字店舗を閉店するだけでなく、選択と集中の経営方針に沿って長期的な成長が見込めない店舗についても戦略的に閉鎖しています。

マクドナルドが店舗閉鎖を続ける間、モスバーガーやロッテリアといった他のハンバーガーショップがその分店舗数を増やしたわけでも、またマクドナルドの既存店の平均売上が増えたわけでもないので、ハンバーガー業界全体の規模が小さくなったことになります。つまり、マクドナルドの売上減は同業他社にシェアを奪われたというよりも、他の外食チェーン店やコンビニに客が流れたからだと考えられます。

確かに食品問題でマクドナルドは深刻な打撃を受け、売上が激減しました。ただ推移表の通り、実はその数年前から売上及び店舗数の減少傾向が続いています。食品問題はそれに拍車をかける形となったのです。

この10年間、新規参入や買収等で外食業界では競争がこれまでにないほど激化してきました。その結果、かつては飲食業界でもトップクラスの規模を誇っていたマクドナルドも、縮小を余儀なくされるようになったのです。