幼子の保育を「女性」に押しつける日本
前々回、前回に引き続き、風変わりなグラフを紹介していこうと思います。
まずは、保育タイプの国際比較の二次元散布図です。
就学前の乳幼児の世話を担うべきは家族か、それとも社会か。この観点に基づいて、世界の国々をタイプ分けしてみます。
国際社会調査プログラム(ISSP)の『家族と性役割の変化に関する調査』(2012年)では、各国の国民に対し「就学前の乳幼児の世話は、最初に誰がすべきか」と尋ねています。5つの選択肢が用意されていますが、各国を分かつ主な軸は「家族か、政府機関か」です。
日本の場合、対象者の76.5%が「家族」と答え、「政府機関」という回答は11.1%しかいません。これに対し、北欧のスウェーデンでは「家族」が10.4%、「政府機関」が82.5%となっています。
まるで逆ですね。
日本は「家族(私)」型、スウェーデンは「社会(公)」型の保育と特徴付けられます。
こうした国民の意識は、現実の制度にも反映されています。スウェーデンでは、希望者の子どもを保育所に受け入れるのは自治体の法的な義務で、日本でいう待機児童はほぼ皆無だそうです。それゆえ、幼い子がいる夫婦であっても共働きがほとんど。社会のチカラによって、女性の社会進出が後押しされています。対して日本では、幼子の保育は家族(私)に押しつけられ、女性は家庭に縛られています。
これは2つの国のケースですが、他の国(合計38か国)の回答も全部まとめてグラフにしたい。こういう場合、どうするか。家族の回答比率を赤、社会を青の棒グラフにでもしますか。ケースの数が5つくらいまでならそれでもいいですが、38か国のバー(赤・青の2本×38=76本!)のグラフにすると、もうグチャグチャです。
私なら、二次元のマトリクスの上に38か国を散りばめてみます。横軸に家族、縦軸に政府機関の回答比率をとった座標上に、38の国々を配置すると図1のようになります。