規模の小さな家族葬ではこんな不満も

葬儀社は通常、まず参列者の人数を確認し、それから喪主の希望を聞いて、それに合わせて見積もりを作成する。何も聞かずに「社葬なら1000万円」と持ちかけるのは、信用できない業者と思っていい。

家族葬の普及で規模が小さくなってきた結果、葬儀1件あたりの葬儀社の利益は少なくなっている。そのため少ないスタッフで多くの葬儀をこなす傾向が強くなっている。

「ある葬儀社では、1人の担当者に月に10件の葬儀をノルマとしています。そうなると常時、2つ以上の式を掛け持ちすることになり、担当者は打ち合わせもできるだけ早くすまそうとしがちになります」

これがトラブルの元になる。

担当者がきちんと遺族の話を聞かず、いくつかのプランの中から選ばせるだけといった対応になってしまうと、遺族の側には「ちゃんと話を聞いてもらえなかった」という不満が残る。後悔しないためにも、「どんな葬儀にしたいのか」という要望を、葬儀社の担当に積極的にぶつけていく必要がある。

最近はほとんどの儀式を省き、「火葬場に直接、遺体を運び、火葬してお骨を持ち帰るだけ」という「直葬」を選ぶ人も増えている。

ただ直葬を行ったあと、親族から「なんでそんなかわいそうなことをするんだ」と非難され、改めて故人の故郷で葬儀をやり直す、といったケースも出ている。

「故人と親しかった人たちの気持ちを大切にしないと、トラブルになります。葬儀が嫌ならレストランを貸し切るなどして、親族や親しかった人たちで故人の思い出話をする機会をつくってはどうでしょう。あるいは火葬場に送る前に一晩、自宅に安置して、家族や親族と別れの場を持つのでもいいでしょう」

▼直葬・家族葬は一般葬とこう違う!

【直葬】
内容・メリット:自宅や病院から直接火葬場へ遺体を搬送し火葬する
デメリット:十分なお別れができなかったと後悔することも
費用の目安:15万~30万円

【家族葬】
内容・メリット:故人の近親者や、親しかった人だけで営む
デメリット:香典収入が少なく、遺族の持ち出しが多い。葬儀後の弔問客の対応に苦慮することも
費用の目安:80万~100万円(出席者20名程度)

【一般葬】
内容・メリット:幅広い関係者が参列するので、葬儀後の弔問に煩わされない。香典収入で費用負担が軽減
デメリット:葬儀社からの請求額が大きい。弔問客への対応が忙しい
費用の目安:150万~200万円(出席者100名程度)

市川 愛
葬儀相談員、市川愛事務所代表、一般社団法人「終活普及協会」理事。1973年、川崎市生まれ。服飾メーカー、葬儀社紹介企業勤務を経て、2004年、日本初の葬儀相談員として起業。著書に『後悔しないお葬式』など。
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