問題はゲームより利用者のモラル

ポケモンGOは、スマホのカメラと位置情報の機能で、街に隠れているポケモンを探すゲームだ。このため家から出て、歩き回らなければ遊ぶことができない。運営側はそうしたリスクを想定して、責任を負わない利用規約をつくったのだろう。

海外では深刻な事故も起きている。特に先行して配信されたアメリカの事例は豊富だ。カリフォルニア州サンディエゴではゲーム中に崖から20mほど転落したとみられる男性2人が発見された。ミズーリ州では7月10日、ポケモン目当てに歩き回る人たちを狙った強盗事件が続発し、4人組の容疑者が逮捕された。オハイオ州では19日、女子高生3人がポケモンを探して原子力発電所の敷地内に入り込んだという。

しかしこうしたリスクは、ポケモンGOをプレイしているかどうかにかかわらず、外を出歩けば身に降りかかるものだ。ゲームに対しては「ファミコン」の時代から、家に閉じこもって没頭することが不健康だと批判されてきた歴史があったが、ポケモンGOはこの課題を解決している。部屋の中ではあまり遊べないので、閉じこもって夜遅くまでゲームで遊ぶといった問題も減るだろう。

日本では、京都府の21歳の女性が、「ポケモンを探しに行こう」とアルバイト先の後輩である17歳の高校3年生を勤務後の深夜に連れ回したとして、青少年健全育成条例違反で摘発された事件が大きく報じられた。こうしたトラブルが起きるのは、ポケモンGOに問題があるというより、普段からの生活態度に関わることだ。保護者としては、ポケモンGOのために「特別なルール」を決めるのではなく、生活態度を崩さないことの重要性を、普段から子供に理解させておくべきだろう。