こんな人ってプロと言えますか?
Aさんは中堅企業の営業本部長を務めています。あるとき、社長から呼び出されると、経営コンサルタントのBさんを紹介され、こう言われました。
「Aくん。わが社もCRMなるものを導入することにした。Bさんはその道のプロ。プロにお願いしたから、協力するように」
Aさんは、常々自社の営業が属人的になっており、何とかしたいと思っていました。そこで、快く社長の指示に従い、Bさんに協力することにしました。AさんとBさんの打ち合わせの日。Bさんは会議室に入るやいなや、分厚い資料をAさんに手渡し、自信満々にこう切り出しました。
「Aさん、私はもうわかっています。何せ100社以上の営業コンサルティング経験がありますから。御社の問題は聞くまでもありません。いいですか。私の言うとおりにしてください。これは社長の意思です。ABCを導入して営業マンのコストを徹底的に見直す。BSCの観点から営業マンのKPIを再設定する。あとは顧客データベースを整備して、CRMシステムを導入すれば、絶対に営業は良くなります」
Aさんが面食らっていると、Bさんは構わず続けました。
「もうね、この資料は絶対のマニュアルなんですよ。100社以上の経験に基づいている。あなたは、これどおりに進めさえすればいいんです」
せっかく問題意識を持って打ち合わせに臨んだAさんでしたが、このコンサルタントには返す言葉がありませんでした。