関連したコスト計算をする

複雑さに関連したコストがどう増大するかを理解するには、まず一種類の製品にかかるコストを計算することだ。そこに新機能を追加しつつ、派生製品のコストを計算するのである。この作業によって、コストは通常、徐々に直線的に増大するのではなく、追加された複雑さが組織に無理をかけはじめる分岐点で急激に上昇することに気づく。この分岐点がどこで生じるか、それにぶつからないようにするにはどうすればよいかを知ることが、健全な黒字成長につながることがある。

コスト増大を避けるためには、コストを押し上げるプロセスを再検討することだ。とある北米の大手生命保険会社を例に挙げよう。同社は最初のセールス、契約申し込みの承認から契約更新や給付申請の処理まで、契約に関連するあらゆる事項を処理する個別のケース・マネジャーを任命し、加入者への個別化したサービスを売りにしていた。

ところが、保険商品の種類と複雑さが増えるにつれてコストが急増し、顧客サービスがおろそかになりはじめた。同社のアナリストたちが、1対1の管理方式についてベンチマーク評価を行ったところ、個々のケース・マネジャーは1日当たり4件の契約申し込みしか処理できないことを発見した。これは同社の主な競合2社の半分から3分の1のペースだった。そこで、同社は手順を全面的に改め、契約に関連するサービスを、数人のケース・コーディネーターから成る専門チームに担当させ、各チームに1人ずつ事務スタッフをつけた。

これによって1年足らずのうちに生産性は25%向上し、事案処理時間は半分になり、同社の成長は再び加速した。