(1)の「獲得」タイプ、特に報酬が欲しいと思っている部下には、やはり「やればやるだけお金になる」という働きかけが効果的。逆に(2)の「成長」を望んでいる部下を報酬で釣っても、やる気にはならない。成長意欲の高い部下には、中長期の未来図を見せてあげるといい。

「半年以内にこれだけの件数を取れば、仕事が一通り見えてくる。そこからこういうスキルや資格を目指せば、こういうことができるようになる」というように、成長の筋道を説明しながら、「キミは30歳までにこうなっている」、あるいは「やらないとこうなってしまう」と3~5年程度のキャリアステップを具体的に提示する。そのうえで、勉強方法や情報源などをアドバイスすれば、目標へのルートが手探りではなくなり、部下はモチベーションを維持しやすくなる。

(5)の「責任」タイプには、やるべきことを明確にして、権限を与える。さらに、その立場で何をしなければいけないのか、実行するためにどんな権限があるのかを明示することが大切だ。
コンサルタントとしての経験上、営業マンのやる気の琴線に触れることが多いのは(3)「評価」と(4)「征服」だ。「評価」の場合、上司の評価が欲しい人と顧客の評価が欲しい人がいて、これは比較的はっきり分かれるものだ。会社のために仕事をするタイプと顧客のために仕事をするタイプがいるからだろう。

上司の評価が欲しい部下はとにかく評価してあげればいい。「ここはいいぞ」とできている部分は褒め、「次はこうしなさい」とできていない部分をわからせる。

一方、顧客の評価を欲する部下には、担当営業マンをどう評価しているか、会社として顧客の声を集めて当人に伝える。評価してくれそうな顧客の訪問に上司が同行し、「どうですか、彼は?」と顧客の口から直接、営業マンの自尊心を満たす評価を引き出すのもいいだろう。

評価するときに気をつけたいのは、結果よりプロセスを褒めるということ。契約を初めて取った新人なら話は別だが、結果を褒められても営業マンはそれほどうれしくない。褒めてほしいのはプロセスなのである。

例えば過去に落とせなかった相手先の担当者に部下が会えたとしたら、それを評価する。「私のときは門前払いだった。会えたのはすごい。絶対取ろうよ。協力するから」。――評価型の営業はこういう言葉がうれしいのだ。