自民圧勝が大前提の「参院選」という制度
7月10日に投開票された参院選は、事前の情勢報道にほぼ沿った形で、政権与党である自民党と公明党の勝利に終わった。一方、野党4党(民進党、共産党、社民党、生活の党)の「共闘」も一定の成果を収め、32の1人区のうち11の選挙区で議席を獲得した。これを自公の「21勝11敗」と表現すればダブルスコアの大敗だが、2013年の参院選では「29勝2敗」だったことを考慮すれば、野党側の著しい進歩を評価することもできるだろう。
自民党が参院1人区で大きく勝ち越すことは、自民党が与党第1党となった「55年体制」の成立以降、参院選の日常風景となっている。自民党の結党以来、今回で21回目を数える参院選だが、参院1人区で自民党が過半数を割ったのはわずか2回である。過半数の選挙で8割以上の議席を占めており、文字通りの圧勝を続けている(自民系の無所属候補を含む。以下同様)。この事実があるからこそ、野党の11勝は「健闘」と評価されているのである。
実は自民党は、1人区以外ではこれほど圧倒的な結果を残していない。複数定数区で過半数を超えたのは5回だけで、95年以降過半数を割り続けている(複数区には補選枠を含む。以下同様)。80年選挙まで実施されていた全国区(※1)、83年以降導入された比例区では、単独で過半数を超えたことは一度もない。