難攻不落の顧客にアタックするわけ

ビジネスパーソンなら、完璧主義タイプよりも、手抜きに見えるタイプのほうがメリットがあります。

手抜きに見えるタイプは、仕事の全体像を見通して何が重要なのかを判断できるので、事前に入念な準備をして、仕事をスムーズに進められます。一方、完璧主義タイプは、どんな仕事にも万遍なく力を入れるので、優先順位をつけるという発想がありません。そのため、場当たり的に目先の仕事に追われがちになってしまいます。

ある手抜きに見えるシステムエンジニアは開発プロジェクトのスタート当初、システムの設計とトラブル時の初期対応に集中して時間を割きます。そうすれば、後になって発生する根本的な問題の芽を早めに摘むことができ、余計な仕事を避けられるからです。

また、手抜きに見える営業マンは新規顧客を開拓する場合、ほかの営業マンが契約をすぐ取れる小口顧客を狙うところ、難攻不落の大口顧客にアタックします。それには理由があります。

ほかの営業マンが3回の交渉で100万円の契約を獲得し、手抜きに見える営業マンが大口顧客に10回通いつめて1000万円の契約を受注したとしましょう。ほかの営業マンが手抜きに見える営業マンと同じ成績を上げるには、10件の契約を取らなければならず、交渉を合計30回行わなければなりません。どちらのほうが生産性が高いかは一目瞭然ですね。

完璧主義タイプは、仕事の計画を最初から詳しく立てて、きっちり遂行しようとするため、仕事がなかなか進みません。一方で手抜きに見えるタイプは、大雑把なプランを立てたら、すぐにスタートします。そして、状況に応じて柔軟にプランを修正し、上手くいかなければ、早めに見切りをつけます。だから、仕事が成功する確率が高いのです。

メジャーリーガーのダルビッシュ有投手は、新しい投球法が未完成でも、試合のときに8番打者などで試してみるそうです。失敗すれば、その場でスッパリ封印してしまいます。