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「職場への不満」の意識調査

上に立つ者の心得としては、とにかく部下の長所を伸ばしてやること。ドン・キホーテには、人間関係の構築はやや苦手だが、陳列をさせると異才を発揮する人もいる。そのような人を適材適所で使い、それが売り上げのアップに直結すれば、さらに自信がつく。欠点を無理に矯正しようとせず、得意分野を磨いたほういい。

その意味で、当社に監督は必要ない。求められるのは、同じフィールドで率先して動き、苦労や達成感を共有できるキャプテンであり、プレーイングマネジャーなのだ。こうしたリーダーシップのある人物は部下から慕われ、情報も集まりやすい。黙っていても相談や意見具申をする人が増えていく。その際、建設的な提案だと思ったら、どんどん取り入れていくことだ。一緒にグチっていても何も生み出さない。

土俵際の粘り腰は“はらわた力”による

とはいえ、会社生活はいつも順風満帆とはいかない。妥協して、何とか折り合いをつけてしのぐこともあるだろうし、じっと我慢するしかないこともある。そんなときに「何くそ!」と、地面に這いつくばってでも、何かを掴んで立ち上がるしかない。では、その力はどこから出るのか……。

うまい表現が思いつかないが、追いつめられながらもギリギリのところで耐え忍び、こらえる土俵際の粘り腰、これを私流に“はらわた力”と名づけている。世間でいわれる魂とかガッツとはやや違う。腹を決めるとか、腹をくくるとかいう表現もあるが、所詮、腹の中身はほかでもない、はらわたである。とにかく、どんな場面に遭遇しても、もがき苦しみながら這い上がろうとするとき、この力が自分の身につくのである。

ドンキホーテHD 創業会長兼最高顧問 安田隆夫(やすだ・たかお)
1949年、岐阜県生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。不動産会社等を経て、雑貨店「泥棒市場」を開業。89年、ドン・キホーテ1号店を東京・府中に開業。2000年、東証一部上場。15年6月、ドンキホーテHD創業会長兼最高顧問に就任。
(岡村繁雄=構成 小川 聡=撮影)
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