レスポンス率は業界、業種、企業、職種で違う

手紙を筆書きに変えて、もう7、8年になります。正確なレスポンス率は、なかなか数字では表せないのですが、一番多い時で50%反応がありました。これは、候補者が在籍する業界、業種、企業、職種によって、かなり違うと思います。外資系の金融機関などのように毎日多くのDMを受け取るような立場の人だと返信率が低いということになるでしょう。

返事をくれた人たちにはすべて会います。私の経験ですが、あるクライアントから役員クラスの仲介を打診され、50人と面談したことがあります。何度か面談を重ねていくうちに、2人がほぼ採用ということになりました。本来、そのポジションは1人で良かったのですが、どちらの人物も優秀で甲乙つけがたく、別のポジションも用意しようということになりました。あるいは、その場で決まらなくても次のスカウトの候補になってもらうという場合も少なくありません。

現在、当社のグループ会社(半蔵門パートナーズ)では医師・地方創生案件に特化したエグゼクティブサーチも積極的に行っています。このようにジャンルを絞り込むと、面談の申し入れに対する返信率は3割から4割あります。ただ、この分野に関しては、返信がなければ5回ぐらいはアプローチしますので、このように高いレスポンス率になるということはあります。

もちろん、面談を繰り返し、企業と候補者のマッチングがうまくいかず、候補者からの辞退も含めて「残念ですが今回は……」となってしまうこともあります。そのような場合でも、最初に当方が誠意を示していれば、候補者もそれを察し、マイナスの感情を引きずることもなく、気持ちよく話し合いを終えることができます。その際の引き際が見事で、私自身が「この人は」と感じたら、きちっとテイクノートしておきます。

その方には、きっと別の機会に手紙を差し上げることになるでしょう。もしかすると、あなたのところにもある日、当社からの筆書きの手紙が届くかもしれません。その際はぜひ、迷わずに開封して見てください。そこには、新しいビジネス人生のチャンスが書かれていることも少なからずあるということを知っておいてください。

武元康明(たけもと・やすあき)
サーチファームジャパン社長
1968年生まれ。石川県出身。日系、外資系、双方の企業(航空業界)を経て約18年の人材サーチキャリアを持つ。経済界と医師業界における世界有数のトップヘッドハンター。日本型経営と西洋型の違いを経験・理解し、それを企業と人材の マッチングに活かすよう心掛けている。クライアント対応から候補者インタビューを手がけるため、 驚異的なペースで 飛び回る毎日。2003年10月サーチファーム・ジャパン設立、常務。08年1月代表取締役社長、半蔵門パートナーズ代表取締役を兼任。
(取材・構成=岡村繁雄)
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