横書き、西暦、算用数字を使う理由
手紙といっても、とくに構えるようなことはない。つい先日も、当社の開業7周年記念講演会にケーキを差し入れてくださったお客様へ、お礼の手紙を書いたばかりだ。
そういうときのために、私の机には当社のロゴマーク入りのオリジナルのポストカードを、常に何十枚も用意してある。ただ、それをハガキとして使うのは、会合の出欠を知らせるなど事務的な用件のときだけ。通常は片面全体に通信文を書き、そのまま封筒に入れて送るようにしている。やはり個人に対する文章は、不特定多数の目には触れないほうがいい。それに、ハガキとして使用すると上半分が住所や宛名にとられて、書ける文字の量が減ってしまうからだ。
書き方も、手紙の形式にはあまりこだわらない。「拝啓、時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます」といった堅苦しい挨拶は端折って、文頭から「このたびはケーキをたくさんありがとうございました。みんなで美味しくいただきました」というように、自分が思ったままを素直に書いていく。下書きはしないが、この手紙ではこんなことを伝えようというイメージを頭に描いてから書き始めるので、スペースが足りなくなったり、途中で書くことに詰まり、後半が余白になったりするようなことはまずない。
それから、手紙にかぎらずどんな文章も、基本的に私は横書きだ。別に美学や哲学でそうしているのではなく、単に横書きのほうが縦書きよりも読みやすく書きやすいからである。人間の目は横に2つ並んでいるのだから、横書きのほうが生理的にも快適なはずだ。もともと縦書きというのは、中国から伝来した漢文が縦書きだったというだけで、それ以上の意味はないのである。また、数字は算用数字、年号は西暦を使う。これも漢数字や和暦より使い勝手がいいからというのが理由だ。