知事と副知事を1人ずつセットで選出するメリット

――知名度投票にならないようにするには、都民がある程度の時間をかけて候補者の人となりや考え方や政策を知って、信任して投票するべきですか?

【河野】当然です。ですから知事選挙は任期どおり、4年ごとにやるべきだと思います。そうすれば、知事になりたい人は半年ぐらい前から立候補の意思を表明し、じっくりと時間をかけて、討論会を開いたり、街頭で市民に語りかけたりして、政策や思いを伝えていくことができる。そのためには、知事に何かあっても、4年の任期を守らなくてはいけない。そこで選挙の際には知事と副知事がセットで立候補し、2人で信任を受ける。知事が辞任した場合には、副知事が残余の任期を務めることに、ルールを変えればいいというのが私の主張です。

今、人口の多い都道府県には3人ほど副知事がいます。全員任命制で、多くの場合は実務系の職員が任命されるのですが、場合によったら総務省の役人が天下りで副知事をしていたりする。法改正をしたら、副知事を1人にし、知事と副知事をセットで選び、副知事の下に参事などの任命制のポストを作ればいい。

これは都道府県知事選だけでなく、政令指定都市の市長選まではやったほうがいいと思っています。やれるんだったら市町村長、区長までやる手もある。そこは多少議論の余地があると思いますが、むしろ小さい自治体ほど選挙期間が短いですからね。

実際に法改正される可能性は?

――その法改正には問題はないのですか。

【河野】総務省は、「憲法で『自治体の首長は選挙で選ぶ』とされているから、副知事が知事に繰り上がるのは憲法違反だ」というのですが、それは今、副知事が任命制でやっているから駄目なのであって、「副知事は知事が欠けたる時には残余の期間知事を務める」という法律を作った上で、副知事を選挙で選べば、憲法上は問題ないはずです。それよりも、知名度のある人が後出しじゃんけんで出て勝つみたいなバカげた選挙の方が、よほど憲法の精神に反していますよ。

――実際に法改正は進めるのでしょうか。

【河野】今回は僕だけでなく、自民党の若手議員の秋本真利君など、自民党の議員のなかにも何とかとかした方がいいという議論が出ているので、議員立法で提案まで持ち込めればいいかなと思います。前回の猪瀬さんの時は、私が同じことを言っても、「まあそういうこともたまにはあるけどさ」みたいな雰囲気だったんです。それが今回で、「たまじゃないだろ、結構あるだろ」みたいな雰囲気になってきたので、みんな真剣に考えてくれるでしょう。