関係改善に有効な「4つのステップ」

はじめの「D」は「Describe(説明)」。同僚でも認識には差があるものです。お互いにわかっているはず、という思い込みは誤解の原因になります。当たり前だと感じることでも、「今期の目標はこれで」「前回のミーティングでこんな話が出たね」と説明し、相手から「そうだったよね」と小さなイエスをもらうことが大切です。

次の「E」は「Express(表現)」。ここでは自分の感情を「私」を主語にした「“I”メッセージ」で伝えます。重要なのは、事実と感情を必ず分けて伝えること。仮に取引先から理不尽なクレームがきて、どう対処するか同期に相談し、力を借りたいとします。相手を主語にして「クライアントが最悪でさ」といきなり感情を爆発させるのは角が立ちますし、話を聞かされた側も状況を把握できずに困惑してしまいます。まず思いもしなかった理不尽なクレームがきた事実と、次に対処に困っているという自分の感情を分けて話します。そうして問題点と自分が置かれた現状を速やかに理解してもらえれば、協力を仰ぎやすくなるのです。

もちろん相手への配慮を忘れてはいけません。「そっちも急ぎの仕事があるんだよね」と相手の立場をきちんとおもんぱかりながら、どう対応するのがベストかお互いの考えや次善の策をすりあわせていきます。

3番目の「S」は「Specific(明確な、具体的な)」。「なるべく早く」や「できるだけ多く」といった曖昧な言葉は、人によって物差しが違うのでトラブルの原因になります。「遅くても今月中、なるべく早いとありがたい」とか、「少なくても3枚のレポートが必要。できるだけ多いと相手も嬉しいと思う」などと、ミニマムラインと一緒に具体的に伝えましょう。

最後の「I」は「Inform(知らせる)」。引き受けてもらったときのメリットと断ったときのデメリットを提示します。これは相手が頼み事を承諾するか、断るかの判断材料となります。

頼み事をうまく引き受けてもらえたからといって、それで終わりではありません。忘れがちなのが、その後のフォローです。「報告・連絡・相談」はビジネスの基本ですが、上司や部下に対してはできていても、同僚に対してはどうでしょうか。お互いに報告しあうことは少ないように思います。だからこそ、「おかげで助かった。部長も喜んでいたよ」という成果の報告と感謝の言葉が、同僚との良好な関係づくりに役立ちます。