理科系発想と文科系発想どう異なるか

理科系の発想とは、「原因と結果とをきちんと見極める」ことにある。因果関係の見極め、それは「科学的理解」の真髄である。その理解では、現実の経緯は、えてして直線的で、そうでしかない必然の道として描かれる。リンゴが木から落ちるのは重力が働き、酸素と水素を化合すれば水が生まれる。そこには紛れはない。こうした因果の理解は、自然現象に留まることなく、「科学的理解」として社会現象にも適用されてきた。経営学の世界でも、この理解に基づいた研究が1970年頃から急速に広まった。

しかし、社会の理解の仕方には、科学的理解とは異なる、もう一つのいわば曲線的な筋道(プロット)による描き方もある。それは、「物語的理解」、いわば文科系的発想の立場だ。