現場と経営の板ばさみにあう中間管理職……ミドルという言葉が前向きに語られなくなって久しい。現在のミドルの衰退は組織や経営にも責任があり、その復活が企業繁栄の鍵を握る、と筆者は説く。
なぜ「ミドル」のイメージは失墜したのか
「ミドル」という言葉を聞いたとき心に浮かぶのは、いいイメージだろうか、悪いイメージだろうか。昔はいいイメージも多かった。「ミドル・アップアンドダウン・マネジメント」などという言葉で表現されるように、ミドルは経営からの方針や戦略と、部下のもつ現場情報を組み合わせ、そこから自部門の次の展開に関する戦略をたて実行する。また、目標の達成過程で、部下の意欲をうまく保ちながら、同時に部下を育成する。部下への配慮を怠らない、人間性あふれるリーダーの姿がそこにはあった。
そして、しばしばその過程で、自分が常日頃考えているアイデアを、そっと戦略に盛り込んで組織変革を目指すのである。実際、野中郁次郎氏が描く知識創造型経営の中核は、そうしたミドルであり、そうした描写がさほど違和感なく受け入れられるほど、企業の競争力が健全なミドルに依存していた。
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