[寿司] 与志乃

――巨匠が愛した名店は、粋な空気をまとう

昭和24年創業。引き戸を開けて階段を上る「2階の与志乃」として有名で、多くの寿司職人が修業した伝説の名店。滅多にメディアには出ないが敷居は決して高くない。2代目・吉野浩司さんの表情は柔らかく店の雰囲気は温かい。

●東京都中央区京橋3-6-5 TEL/03-3561-3676 営業時間/11:30~13:30 17:00~20:30(入店) 土・日・祝休 カウンター10席、テーブル4席 予約可 カード不可

1.握りは一人前6300円より。寿司飯は塩が利いていて、日本酒に合う。写真左から、穴子、鯵、とり貝。穴子の柔らかさ、滋味深さには誰もが瞠目する。「生きた穴子を仕入れてさばいて、大鍋で煮るだけ」と吉野さん。
 2.刺し身は写真手前から赤貝、平目、中トロ。
 3.赤海鼠の三杯酢。心地よい歯応えの後、磯の香が口一杯に広がる。
 4.口溶けの軽妙さに池波正太郎も絶賛した玉子焼き。摺った海老を加えて、絶妙の火加減で焼き上げる。

[天ぷら] 天真

――技ありの天ぷらと 吟味されたワインが、 絶妙な調和を生む

創業22年目。店主・樟山真栄さんの技が冴える。肩肘張らずに最高の天ぷらを堪能できる。天ぷらに合うワインは多彩で、日本酒も充実。

●東京都千代田区平河町2-3-10 ライオンズマンション平河町1F TEL/03-3222-1588 営業時間/11:30~13:30(LO) 17:00~20:30(LO) 土曜は夜のみの営業 日・祝休 カウンター8席、テーブル4席、座敷8席 カード各種 昼は売り切れ次第終了、夜は要予約

雪コース(1万2600円)より。

1.有明産の海老。噛み締めると甘さが立ってくる。
 2.初夏の香りを運ぶ琵琶湖の稚鮎。ほのかな苦みの後で甘味が広がる。
 3.写真手前から空豆、たらの芽、アスパラ。
 4.房州の鮑。口当たりの優しさに唸ってしまう。「一番柔らかくなるように熱を通します」(樟山さん)という妙技が堪能できる逸品。
 天ぷら油は綿実油7割、中煎りの胡麻油3割。この配合で軽やかに揚がる。ほかにも月コース(9975円)、花コース(8190円)がある。

(構成・文=須藤靖貴 撮影=岡本 寿)