坂東眞理子

1946年、富山県生まれ。69年に東京大学卒業後、総理府入省。内閣広報室参事官、埼玉県副知事、在豪州ブリスベン総領事、初代内閣府男女共同参画局長などを経て、2003年に退官。04年、昭和女子大学教授となり、07年に学長に就任する。300万部を超えるミリオンセラーとなった『女性の品格』をはじめ、『親の品格』『愛の歌 恋の歌』『幸せの作法』『美しい日本語のすすめ』『坂東式ハッピーライフ両刀力』など著書多数。団塊世代へエールを送る、最新刊の『錆びない生き方』が好評。


 

ワインのおいしさを知ったのはオーストラリアのブリスベン総領事時代です。カベルネ・ソーヴィニヨンやシラーズなど濃厚なフルボディが好きなので、たとえメーンがお魚料理でも、ルールを無視してカベルネ・ソーヴィニヨンを合わせてしまう(笑)。それぐらい赤ワイン党です。

この2軒もワインが楽しめるお店です。三宿の「ラ・テール メゾン」は大学関係の集まりや来校された方をお連れするときに。都心で人と会うときには麹町にある「筵(えん)」の落ち着いた個室が重宝しています。

どちらも野菜をふんだんに使った手の込んだ料理が魅力です。普段、私が作るのは「30分で4品」といった手早くできるお惣菜。働く主婦からすると、家庭では作れない手間をかけたプロの味が、外食を楽しむポイントになりますね。

ビジネスマンにとって最大の財産はやはり健康です。食事、運動、心の健やかさが健康を支える三つの柱。なかでも栄養のバランスがとれた食事が大切です。サプリメントで補う方法もありますが、自然のものからいただくのが私の主義。セサミンを摂るなら錠剤よりごま和えを選びます。素材の持ち味をおいしく味わいながら、楽しんで食事をするのが健康に一番いいと思っています。

家庭料理は奥様まかせの男性が多いと思いますが、黙って食べるのではなく、おいしいときこそ感謝を込めたコメントが欲しいですね。わが家では下の娘がなかなかにうるさい評論家。でも、味がわかる人がいると料理は気合が入ります。

奥様を外食に連れ出すことも、とても大事です。家庭料理がおいしくなるばかりではありません。夫婦は人前で夫婦を演じることによって初めて夫婦らしくなります。レストランはそのための格好の場。結婚記念日などのアニバーサリーには、ファミリーではなくカップルでお洒落なお店に出かけてほしいと思います。

「グラス半分のワイン」。これはカナダの友人に言われた言葉です。まだあると思うか、もう半分しかないと思うのか、事実はひとつでもポジティブとペシミスティックな見方があるという意味です。人はつい足りない部分に目がいきがちですが、意識して物事のいい面を見つけ、それを活かす癖をつけたいものです。

自分の年齢から将来に目星をつけてしまう人がいますが、私自身、振り返ってみても、人生はそんなに単純ではありません。今の日本も下り坂だと悲観せず、別のステージに入ったと思えばいい。持てるストロングポイントを活用し、質の高いモノやサービスを提供して、それを深く味わえる社会にする。成熟した国をつくっていく道もあると思います。グラス半分のワインにはまだ夢と希望の味わいが残されています。