毎月の赤字額10万円超だったダメ家計も8万円超の黒字に大改造! 家計再生のプロ・横山光昭さんが、実際にあったダメ家計簿10件の改造例をもとに、今すぐ取り入れられる家計再生アイデアの数々を伝授する。
家族構成●夫(51歳・開業医)、妻(44歳・看護師兼経理)、長男(14歳)、長女(11歳)、次男(5歳)
年収●額面=1,500万円/手取り=1,176万円
月収●手取り=夫77万円、妻21万円 ボーナス●なし 貯蓄額●550万円
念願かなって医院を新規開業した目黒さん。多額の出資をしただけに、3人の子供たちには医院を引き継いでもらい、願わくば総合病院に発展させてほしいと意気込むのも無理からぬところか。
ただ、そうなれば、子供全員が医学部進学前提となり、教育費は否応なしに一般の比ではなくなる。中学から大学まで私立ともなればなおさらだ。家庭教師代や塾代など、教育費はすでに、月々27万円もかかっていた。
もちろん、開業医である目黒さんの収入は比較的高い。医院を手伝ってくれる妻の分も合わせれば、手取り月収は約100万円。それにもかかわらず、毎月10万円以上の赤字家計なのだ。これでは、子供たちが医師になる前に一家崩壊し廃業へと追い込まれかねない。将来の夢を語っているどころではないのである。
教育費は家計の中で“聖域”ととらえられがちで、なかなか削りたがらない家庭が多い。家計再生においては、これが最大のネックとなる。
目黒さんの場合も、今から息切れしている場合ではない。将来さらに増えるであろう教育費のことを考えれば、目先の教育費をできるだけ削り貯蓄に回すことを検討するべきだった。しかし、ほとんど通わなくなった1つの塾をやめた程度で、それ以外の削減は頑なに拒まれた。
そうであれば、ほかの家計簿項目を見直すほかない。皮肉な話ではあるが、幸いにも収入が多いだけに贅沢をしている部分も多く、削りどころは多かった。食費、被服費、交際費、娯楽費などといった部分である。
おかげで、月々の収支はプラス8万円超まで持ってくることができたが、本気で3人の子供を医師にしたいと考えているのであれば、まだ心許ない。また、その夢がかなえば老後資金の心配もいらないかもしれないが、もし、シナリオ通りにいかなかったとき、目黒さん夫妻の老後は危ういものとなりかねないのだ。
マイエフピー代表取締役社長。庶民派ファイナンシャル・プランナーとして、8000人以上の赤字家計を再生。著書に『年収200万円からの貯金生活宣言』シリーズなどベストセラー多数。