やってはいけない「すべて置換」

置換機能の1つに「すべて置換」という機能があります。これは、資料内すべての「売り上げ」を「売上」に変換してくれるという機能です。それだけ聞くと便利な機能と思われがちですが、この機能はオススメしません。

たとえば、「売り上げる」という動詞が資料内にあったりすると、「すべて置換」によって「売上る」と変換されてしまうわけです。これだと意味が通りません。このようなミスがないよう。置換は丁寧に1つずつ確認しながら行うことをオススメします。

これは余談ですが、私の上司はこの「置換」での失敗談があります。

もう10年以上前の話です。当時、「UFJつばさ証券」という企業がありまして、当時の私の上司が、この企業にプレゼンを行いました。その後、この上司は同じ提案を、UFJつばさ証券の競合である「みずほ証券」に持っていこうと思い、「すべて置換」でUFJをみずほに変換しました。

そして、上司はタクシー移動中に、その資料の中がすべて「みずほつばさ証券」になっていたことに気が付き、タクシーの中で「みずほつばさ証券」と書かれたページをすべて破って、プレゼンに臨んだそうです。

先方に見える前に気がついてよかったですが、置換のミスは気を付けたいですね。

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熊野 整(くまの・ひとし)
ボストン大学卒業後、モルガン・スタンレー証券投資銀行本部に入社し、大型M&Aや資金調達プロジェクトをリード。退社後はグロービス経営大学院にてMBAを取得。その後、エムスリー株式会社に入社し、事業責任者として事業計画の立案から戦略遂行までを行う。現在はスマートニュース株式会社にて、財務計画として収益計画の策定や資金調達を担当。「グローバル投資銀行のエクセルスキルを分かりやすく伝えたい」というモットーの下、2013年10月から週末や平日夜に個人向けエクセルセミナーを開催し、いまや年間3000人以上が受講する大人気セミナーになっている。企業研修も数多く開催し、多くのビジネスパーソンに収益計画の作成指導を行っている。初の著書『外資系投資銀行のエクセル仕事術』(ダイヤモンド社)は、エクセルブームの火付け役にもなり、ヒットを記録した。
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