億単位のビジネスを動かす外資系投資銀行。彼らの使うプレゼン資料はシンプルで見やすいが、それゆえに商談を勝ち取るだけの様々なテクニックが隠されている。そんな資料作成の秘策を『外資系投資銀行の資料作成ルール66』の著者が教えます。

黒文字は主張が強すぎ、グレーはすっきり見える

ビジネス資料には、トレンドがあります。昔に比べて、どんどんシンプルに、そして見やすくなっている印象です。今から思えば、昔のパワーポイントは、ムダに動くアニメーション、特に意味のない☆型の図形など、あまり意味のないものも多かった気がします。実際に、パワーポイントのクリップアート(20代の方は知らないかも)は、いつのまにか提供終了となりました。

『外資系投資銀行の資料作成ルール66』熊野整著 プレジデント社

シンプルなプレゼン資料は、顧客にとって理解しやすいという利点だけではなく、資料を作成する時間・コストを削減することができます。だれでもプレゼン資料を作れるようになった現在、その作成コストを効率化することはとても大切です。

では、シンプルで見やすい資料とは、具体的にどのようなものでしょうか。分かりやすい例は、あまりゴテゴテ色を使うのではなく、カラーは1~2色にとどめつつ、それ以外は黒にするというものです。中には、社内資料はカラー禁止(=白黒のみ)というところもあります。カラー印刷はコストがかかりますし、白黒の資料であれば、カラーのバランスを考える必要がないので、こちらも効率的といえそうです。

ところが最近では、その黒い文字すら禁止にして、グレー文字を主体にしている企業が増えているように感じます。当初はインターネット企業など若い企業で目立っていたのですが、投資銀行業界でも、最近はグレー主体の資料も見られるようになりました。