世界的戦略コンサルティングファームのひとつBCG。入社3日目の「定量分析」研修に潜入した。

外資系コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループ(BCG)の研修が始まっても、なかなかエクセルの画面が出てこない。新人エクセル研修に参加させてくださいとお願いし、取材させてもらったのだが、事前の予想と内容が大きく違うことに戸惑う。“エクセル”という言葉を、講師を担当した堀内喬プロジェクト・リーダーが口にし「お! そろそろか」と思っても、またすぐに話題はエクセルから外れる。これが何回か続いた。1時間半の研修で、エクセルの画面が登場したのは残り20分に入ってからだった。

現在もコンサルタントとして活躍する堀内喬プロジェクト・リーダーが講師を務める。研修終了後に担当する業務に直結する内容に、真剣に聞き入る新入社員

エクセルそのものについての話題が少なかったからといって、BCGのコンサルタントがエクセルを使わないわけではない。むしろその逆で、「多くの分析にエクセルを使っています。分析のうち、9割ほどはエクセルで対応できます」(堀内喬プロジェクト・リーダー)という。

では何故、エクセルそのものについての話が少ないのか。その理由は、BCGの研修が“エクセルの使い方”ではなく、“エクセルが必要になる場面と分析結果の重み”を理解させることを主眼にしたものだったからだ。コンサルティングの仕事全体の説明から始まり、その中での分析の位置付けや役割を教える。分析で頻繁に直面する課題や問題も紹介していた。そのうえで、実際の分析でエクセルを使う場面や、頻繁に使う関数などについて説明したのだ。

研修を見学しているときには「もしかしてBCGに入社する人はエクセルを使いこなせる人ばかりかな」と考えていたが、堀内氏は「そうではありません。私自身入社した際はピボットテーブルを扱ったことがありませんでした」と教えてくれた。

研修で“分析でよく使う関数”として紹介したのは「SUM」「IF」「VLOOKUP」の3つのみ。これに加えて、“よく使う集計機能”として「Filter」と「Pivot」について簡単に説明していた。

研修を聞いているだけでVLOOKUP関数が使えるようになるかというと、そんなことはない。だが、具体例を交えながらの説明でその関数がどのようなものなのかは容易に理解できるようになる。例えばVLOOKUPであればもともとのデータから、“青森県”という県のデータと“東北”という地域のデータを結びつけるのに使う、といった具合だ。