堀内氏は「エクセルの具体的な使い方は本を読んだり、インターネットを使えば簡単に調べられます。それよりも、分析によってもたらされる数字の重要さや、クライアントと適切にコミュニケーションをとることの大切さなどを伝えたいと考えています」と話す。

エクセルの関数や機能についての話が少なかった一方で、エクセルのワークシートをどのように作るかというルールについては非常に細かく、具体的な説明がなされた。

例えば、「ローデータ、分析過程、分析結果のデータは別のワークシートにする」「計算結果の値は直接入力せず、セルを参照した計算式を入れる」「単位、データ、出所はわかりやすいところに示す」「手入力した数値と計算結果の数値は色分けする」などだ。

続いて、顧客からデータを預かった際に実行する「データクリーニング」と呼ぶ作業についても詳細な説明があった。データクリーニングとは、正しい分析を行うために、同じ項目のデータに「英字の半角と全角が混在していないか」「文字列と数値が混在していないか」「余分な空白が入っていないか」「数字と漢数字が混在していないか」などをチェックし、正す作業だ。

堀内氏はこうした話をする意図について「エクセルファイルは、作成者でなくても簡単に理解できるように作ることで、説明がしやすくなるだけでなく、ミスが減ります」と説明する。また「ファイルをクライアントや他のメンバーに引き継いでもすぐに対応できるよう、仕事は属人化しないようにすることが必須です。ワークシートに細かな決まり事が多いのは、そうした理由もあります」(堀内氏)。

研修では、BCGで使用する代表的な分析ツールがいくつか紹介された。エクセルは縦の行が104万行に決められているため、「それを超える規模のデータや、エクセルでは重すぎて計算に時間のかかる分析ではAccessを使います」(堀内氏)。より高度な分析や、「ビッグデータ」と言われるような大量のデータを扱う場合にはAlteryxを使用する。ただし、前述した通りエクセルのみで分析することも非常に多いという。

堀内氏は「BCGではいろいろな最先端のツールを使っています。膨大なデータを扱うツールや、グローバルな企業動向を見るためのツールなどもあります。こういうものを扱うための基本がエクセルです。そのため、エクセルを理解して基本を身につけることは非常に重要です」と指摘した。