ちなみに築山氏が調査したところによれば、1日でしゃべる言葉の数が約6000語ならその人の発話能力は維持されるが、パソコン・メール偏重であまりしゃべらない人のそれは1000語以下で、これでは能力は落ちるという。それはつまり脳のポテンシャルが低下しているということなのだ。

「私自身、雑談は意識的にたくさんするようにしています。家族とはもちろん、病院に来てからも事務局のスタッフや看護師などと言葉を交わします。話していて感じるのは、雑談のいいところは『テーマがない』ところです。それぞれがそのときに考えている意見を述べる。聞くほうとすれば何が飛び出してくるかわからない。だから、脳の一部だけでなく、自分の経験や思考などを踏まえ脳を広く深く使わないといけません。会話のアドリブ力が求められます。より質の高い雑談にするため頭をフル回転させる。テーマ設定なしの雑談というのは、そういう意味でとてもクリエーティブなのです」

雑談は言葉のキャッチボール。自分の意見に対する相手の反応・考えを付加することは、いわば相手の脳を利用するということ。「頭数」分の脳の知恵が自分のものになるともいえるのだ。

「新しい情報を仕入れると脳はそれに反応して、どんどん変化していきます。脳の回転数がアップするのです」

脳神経外科医 築山節
1950年生まれ。日本大学大学院医学研究科卒。現在、財団法人河野臨床医学研究所附属北品川クリニック所長。医学博士。著書『脳が冴える15の習慣』は50万部以上の大ヒット。最新刊に『頭が良くなる脳の時間割』がある。
(堀隆弘=撮影)
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