頭をよくしたいなら手・足・口を動かせ!

築山氏によれば、脳の安定活動のためには、朝は一定の時間に起き、脳スイッチをONにするだけでなく、太陽の光を浴びる習慣も必要だ。

朝日を浴びることの効果はよく聞くが、そのメカニズムを改めて確認しておこう。まず天気のいい日なら、起床後にベランダなど屋外に出てみる。すると、日光は視神経を通して脳のなかの松果体に届き、睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンを分泌している松果体は、その分泌を抑制し、脳は覚醒する。松果体は日を浴びた14~15時間後に再びメラトニンを分泌する性質があるため、夜の安眠にもつながる。いい生活リズムの循環が生まれるのである。

「小学生の子供たちが元気な理由、わかりますか? 大人みたいにお酒飲んだり、暴飲暴食したりしないということもありますが、それよりもよく遊んで体を動かして早寝早起きするというシンプルな生活サイクルを守っているということが最大の要因なんですよ」

ちょうど今は夏休み。子供や地域の人とラジオ体操するのも悪くないかもしれない。起床時間のほかに朝時間を有効活用する習慣とは何だろうか。

「キーワードは、『手・口・足を動かせ』です。朝の脳はぼんやりしています。覚醒度は低い(図を参照)。そこで、起床後2時間、脳の運動系と呼ばれる機能を使うことでウオーミングアップをするのです。ウオーキング、部屋の片付け、朝ごはんづくり、家庭菜園、ゴミ出し、丁寧な歯磨き・洗顔など、ごく簡単にできることはたくさんあります」

例えば、片付けは手の運動である。手を動かす運動系の機能は、脳の表面中央付近に分布しており、その脳領域を十分に働かせることは、当然のことながら、そこにいたる脳の血流をアップさせることにもなる。また、片付けという行為は、同時に前頭葉が司る選択・判断の機能(不用なものか否か)を大まかに使う活動でもあり、脳の準備体操として最適だというのである。