日常のちょっとした習慣に着目し、正しく実践すればあなたの頭は冴えわたる! 「男性・女性に共通する」脳の仕組みを解明しよう。

なぜ、パソコン仕事は脳に悪いのか

前編(http://president.jp/articles/-/17969)での「手・口・足を動かせ」の足とはウオーキングのことである。

健康維持の手法としておなじみだが、脳神経外科医・築山節氏の解説で、脳との関わりを考えるとより身近な情報となる。

前述したように、手足の動きを司る領域は脳の上部に位置しているとされる。特に、足を支配するのは、ほぼ頭頂部。歩くごとにこの部位の血流が増え、足が受けた外界からの刺激もフィードバックされるという。築山氏によれば「脳が必要とする酸素やブドウ糖を多量に含んだ血液が頭頂部にまでくみ上げられ、脳全体に降り注ぐ」というのである。

「歩けば、いやが上にも脳の働きは活性化します。私は数年前から、朝と昼食の前後に計2万歩が日課です」

取材当日、築山氏の歩数計はすでに2万歩超。

そう若々しい笑顔を浮かべる築山氏。脳の回転をより上げるためのウオーキングのコツがあるというので話を聞くと、要点は次のようなものだった。

(1)歩くときは手ぶらで――。手と腕の動きを司る脳の領域はほかの体の部位に比べはるかに広い。よって、荷物がある場合はそれらをリュックに入れ、両手を振って歩くと、その動きのフィードバック情報が脳に多く到達する。

(2)イヤホンはしないで――。ウオーキング時には携帯型音楽プレーヤーで音楽を聴きながら、という人も多いだろうが、そうなると自分の世界に閉じこもるような感覚となり、視野さえも狭くなったようになる。このことにより、周囲の景色がよく見えなくなる。脳は自分の周りの「変化」に敏感だ。イヤホンなしのウオーキングのほうが聴覚と視覚からの情報がより多くなり、その分、脳の活動量も大きくなるのだ。

そして、築山氏はこうも語る。

「ウオーキングや散歩は決まりきったルートばかりを行くよりも、通ったことのないルートを行くと、より注意深くなり目をキョロキョロさせます。そのとき脳は見慣れぬ視覚情報を積極的に捉えようとしてフォーメーション全体がダイナミックに活動しています。その点、フィットネスジムでウオーキングやランニングをするのは、体力向上とストレス発散にはなっても、脳の活性化にはあまりつながらないといえるかもしれません」