寝るときも枕元にメモ帳をおいておく

<strong>小林製薬社長 小林 豊</strong>●1945年、兵庫県生まれ。甲南大学文学部卒。創業家出身。専務、副社長を経て、兄の一雅氏より引き継ぎ、2004年より現職。「熱さまシート」「サワデー」などヒット商品を出すことで定評のある同社を率いる。
小林製薬社長 小林 豊
1945年、兵庫県生まれ。甲南大学文学部卒。創業家出身。専務、副社長を経て、兄の一雅氏より引き継ぎ、2004年より現職。「熱さまシート」「サワデー」などヒット商品を出すことで定評のある同社を率いる。

人が1日に出合う情報はどのくらいだと思いますか。「大体500くらい」というのが、当社研究室の責任者の答えです。家を出て電車に乗って会社に来るだけでも、周辺の景色、駅の看板、車内広告、乗客の行動など数え切れないほどの情報が目に入ってきます。しかしその中から有効な情報をキャッチするには、漫然と眺めるだけでなく問題意識を持っていないと難しいでしょう。

人はいきなり「考えろ」「アイデアを出せ」と言われてできるものではありません。日頃から周囲を観察して情報を蓄積しておく準備がいります。私自身、出かけたときに小売店を覗くのが習慣になっていて、ドラッグストアやホームセンターはもちろん、靴屋や花屋、化粧品店のような異業種も見にいきます。特に異業種で好調な企業、例えばファッションセンターしまむらとユニクロを見比べて、売り方の違いが業績にどう反映されているかを見るのは非常に参考になります。

そして、内ポケットにいつも手帳を入れておき、気づいたことはすぐにメモする。夜中に地震があってもメモだけは持って逃げられるように、鞄に入れてベッドの側においてから床に就くんです。

社員にもメモ帳を持ち歩くよう奨励しています。何から考えたらいいかわからないという社員には、当社のキャッチフレーズの「“あったらいいな”をカタチにする」を念頭において、親戚でも飲みにいった店で出会った人にでも、どんな製品が欲しいか聞けばいいと指導します。そして、わかったことや気づいたことは忘れないようにメモに残せ、と。