会社に掛け合い留学休暇を捻出
続いては30代大手コンサルティング会社勤務、芦田修一(仮名)さんのケース。
「プロジェクト単位で海外のお客さんと動くことがあります。その際に海外ブランチとのやりとりがあって、週2回程度のテレカン(電話会議)があるんですね。幸い上司が流暢な英語を話したので彼に助けてもらっていましたが、上司がいないとテレカンができないという状況はまずいですよね。この状況を打開したいと思い、英語の必要性を感じていました」
芦田さんのケースでは会社としてフィリピンに関する事業とも関わりがあり、そうした要素も説得材料となり交渉の末2月間、留学のための休暇が許された。筆者が周囲へのヒアリングをしたところ、近頃は彼のように留学休暇を取得してやってくる人も増えてきているようだ。休暇(もしくは遠隔での仕事)の許可だけをもらい、研修は自費で受ける。状況によるが両者にとってメリットのある選択と思える。
滞在期間の半分である、4週間を過ごした効果をこう語った。
「英語でなにか質問されたときに、少し時間をもらえれば、ただ黙ってしまうようなことはなくなりました。なんとか解答ができる。集中的に学べることの効果はやはり大きいと思います。これだけの時間があれば、発音なら発音、ビジネスフレーズならそれだけにまるまる授業が使えるので、多方向から知識が増えてきていると感じます。問題はこれらがまだインテグレートされてきていないこと。これはこのあとの4週間の課題ですね」
今回インタビューに答えてくれた3名は筆者も含めて同じ時期にMBAで勉強をしたクラスメイトなのだが、こうして「効果」について話してあってみると、自分では気が付いていなかった進歩に気づかされることもあったようだ。本気度の高いビジネスパーソンと共に勉強していると、個々の得意と英語力が結びついたと感じる瞬間がある。
例えばプレゼンテーションの際、プレゼンそのものは百戦錬磨という人が多くいて、それぞれの型やセオリーをすでに持っている。こうした経験やスキルが英語力と結びついていくシーンをいくつも目撃できた。天性の明るさ×英語、信頼感×英語……、など次第にそれぞれの個性と掛け合わせた総合評価の「コミュニケーション」として受け取れるようになってくる。自分で自分自身の観察は難しいが、クラスメイトがみるみるうちに実践に近付いていく様子を見るのはひとつの喜びであり、なんだかとても頼もしく思えた。