実践の場が用意される
MBAでは、生徒の実際の需要に沿って多くの実践の場が用意される。
例えば、ビジネスイングリッシュの授業で筆者はセミフォーマルな会議進行法について教わっていた。仕事と自分の性格上、一般的なテキストにあるようなビジネス用語では、少々固すぎるのだ。よって、講師と相談し、もっとも自分らしい表現を選んでいった。これを実践に即して使う機会として、「模擬会議」が準備されたのだ。
「セブ島紹介の連載企画に関する予備取材」という本当にありそうな名目で、筆者を進行役にして、まさにセミフォーマルな会議が開かれ、初めて会う講師2名と筆者だけで、なんとか会議を進行していかなくてはならなかった。この取組みのゴールは「覚えたフレーズを自然に使うこと」「本当に企画ができるだけの情報を実際にヒアリングすること」であった。
また別の日には、インタビュー英語の講師から声がかかった。
「卒業式のあとに、時間ある? 講師を数名集めておくから、実際に記事を書くことを想定して彼女らのキャリアをインタビューしてみて! あ、事前準備はあえてなしで。書いてると読んじゃうからねー。卒業課題として頑張って!!」4名の講師に次々とインタビューをしていくと、不思議と日本語でそれをしているときと同じ気持ちになってきた。
なお、毎週金曜日の午後にはプレゼン大会が行われ、生徒、講師を合わせて60名程度の前でマイクを使ってプレゼンをする機会がある。参加は任意であるが、それぞれのレベルで多くの人がチャレンジする。こうした舞台が用意されていることも、この学校の姿勢が表れているのだと思う。
余談であるが、筆者のケースはプレゼンターではなく、司会をやらないかと誘われ挑戦してみた。司会業の経験のある先生が私の担当ではないにも関わらず付き添ってくれ、共に台本を書いて進行した。実に拙かったと思うが、本番と授業の間の経験として、いい機会だったと思っている。
このようにして講師の発案により、実践に限りなく近い場がさまざまな方法で用意される。「知っていること」と「使えること」の間に大きな隔たりがあるということは、少しでも英語学習に時間を費やした人であれば痛感しているはずだ。こうした実践は、時には至らない現状に気づかされ落ち込み、時には自信を与えてくれた。
講師たちは、生徒の期待を越え、率先して授業以外の時間をやる気のある生徒の成長のために使ってくれる。これは多くの生徒が語っていたことで、感動的なことだった。