胸キュンフレーズ【1】相手に話しやすくさせる

では、具体的にどうするか。

「聞く力を伸ばすには、相づちのフレーズが重要です。会話において、まず相手を肯定し、褒めることです」と櫻井氏。「簡単なのが“同意”を表す『そうですね』『なるほど』、“共感”を表す『わかります』『大変ですね』、“促進”を表す『と言うと、……』『で、どうなりました?』、“驚嘆”を表す『そうだったのですか』という言葉です」。

この4つの相づちに加え、もう1つ入門編として身に付けておきたいのが、松橋氏が提唱する、相手の感情に波長を合わせる“同調”の切り返し方だ。

「簡単なのは、相手の言葉をそのままオウム返しすることです。例えば、相手が『3連休に箱根に行ったのだけど』と切り出したら、『箱根に行ったのですね』と、そのまま返すのです。ここでポイントになるのが語尾の『ですね』で、これが『箱根に行ったのですか』だと、質問や問いかけの印象が強くなって、話を受け取ってもらったという印象が薄くなってしまうのです」

また、「へぇ、箱根に(へ)」のように「に」「へ」で終わらせると、興味を持っている印象を与え、さらに相手が話を続けやすくなるという。

その他、声の大きさ、高さ、テンポを合わせることも重要だ。「これが合っていないと相手に不快感を与えます。解決策として、『呼吸を同調させる』と書いてある話し方の本が多いのですが、慣れていないと難しい。私がお勧めするのは、『アゴの動きを合わせる』こと。ゆっくりアゴを動かして話す人だったら、同じようにアゴを動かして話を聞いていると、自然と話のテンポも合ってきます」(松橋氏)。

▼すぐ使える!つなぎの言葉

[同意]「そうですね」「なるほど」
[共感]「わかります」「大変ですね」
[促進]「と言うと」「で、どうなりました」
[驚嘆]「そうだったのですか」

☆POINT……相手の言っていることを広げたり掘り下げたりする相づちなので、嫌な印象を与えません。逆に相手の言葉を止めるNGフレーズは「悪いけど」「ですから」「だから」。(櫻井氏)

▼「同調+促す」言葉。相手の言葉をそのままオウム返し

[相手]3連休は箱根に行きました
[自分]箱根に行ったのですね/へぇ、箱根に/へぇ、箱根へ

☆POINT……返すときの語尾は「ですか」ではなく、「ですね」のほうが同調した印象が残ります。また、「オウム返し+に、へ」で終わると、続きを促している印象になります。やりがちなのが、相手が何を話したいのかわからないうちに質問を投げてしまうことです。上の会話の場合、相手が話したい内容は、町や歴史の由来なのか、交通手段なのか、現地で食べたものなのか、まだ見えない。勝手に推測して「車が大渋滞だったのではないですか」などと返さず、相手の話の本題がわかるまでは同調+促しを続けましょう。(松橋氏)