「営業は苦手」「未経験じゃ無理」。そう思っている人は少なくないだろう。そんなマイナス思考を吹き飛ばす、スゴ腕営業のテクニックを見よ。
営業という仕事に苦手意識を持っている人、多いですよね。なぜ苦手かというと、「買ってください!」と押しまくるのが営業だと思っているからじゃないでしょうか。でも人間というのは不思議なもので、こちらが押せば相手は引いてしまう。逆にこちらが「無理に買わなくていいですよ」と引けば、向こうは「うーん、でも必要になるかもしれないし」と近づいてくるものなのです。
だから私は押さないことに決めました。でも押さないと相手の印象に残らない。そこでなんだかアホみたいに笑ってる、「アホ笑顔」で自分を覚えてもらうことにしたんです。たいした理由がなくても笑っていると、周囲の人がいい気分になる。
それにアホはみんなから好かれます。あれも知ってる、これも知ってる、という人は一緒にいると疲れてくる。それより、「へえ、私、初めて聞きました」と言って、いい気分にさせてくれる人のほうがまた会いたくなります。
「私は真面目だから、アホになんかなれない」という人でも、「いま私はアホキャラを演じているんだ」と思えば、うまくやれるんじゃないですか? 特に女性は相手より一歩へりくだることにあまり抵抗がないし、何より女はみんな女優ですからね。私なんか叱ってほしそうな人が相手のときは「ズバリ言うわよ!」と細木数子キャラでいくときもあるし、自分で自分を元気づけたいときは、50歳過ぎてもキラキラしてる松田聖子になりきることも。でもやっぱり万人に愛されるのはすっとぼけたアホキャラですね。押しまくるのをやめて、アホになればいいんです。
なんて言っている私ですが、昔は典型的なプッシュ型営業でした。それでうまくいくこともありましたが、このスタイルは一度断られると、そこで相手との縁が切れてしまうんです。だからいまの私は、情報を提示するだけ。「私はこういうものを売っているから、欲しければ言ってね」とだけ言って、決断を迫りません。だって断られない限り、縁が切れないんですから。
先日、10年前にお会いした人から、「あなたから買いたい」という連絡がありました。棚からボタ餅みたいだけど、本当は私が棚に上げておいたんですよね。ボタ餅は、棚に上げなきゃ落ちてこない。「営業とは何かを売りつけることじゃない。知り合いを増やすことだ」。これくらい能天気に構えていれば、営業という仕事が好きになると思いますよ。
創美インターナショナル代表取締役。アホマインドとコーチング理論を組み合わせた独自の営業ノウハウを確立。講演、セミナーなど活動は多岐にわたる。著書に『「アホ」になれば誰でもNo.1営業に変わる!』。