「鶏むね肉」で鍋のうま味最高、インフル防止!

ここで、注目してほしいのはダシのうま味が強ければ、塩分が少なくても物足りなさを感じにくい、ということです。これまでの研究で、下記の3点が確認されています。

(1)うま味成分は豚肉や牛肉よりも鶏肉に多いこと
(2)鶏のむね肉はもも肉よりもうま味成分の量が多いこと
(3)塊の状態よりも、組織が破壊されているひき肉の方がうま味成分が煮汁に溶け出しやすいこと

そこで、減塩のためにオススメしたいのが、鍋の素の使う量を減らし、その代わりに「鶏むね肉のひき肉」をそのまま鍋(水炊き、キムチ鍋、味噌鍋など)に投入してもいいですし、団子状にして放り込んでもいいです。いずれにしろ鶏むね肉をダシに加えることで、そのうま味がぐんと強まるのです。

鶏むねのひき肉は、鍋の素の原材料に含まれるチキンエキスと同じ。「ひき肉そのまま」をダシに使う調理法はあまり知られていませんが、おすすめです。ぜひお試しください。

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「鍋の素」原材料と「鶏むね肉のひき肉」溶出成分

もともと鍋の素は、肉などで作った手作りのおいしい鍋の味を再現できるように、様々な原材料を組み合わせて味を調整した製品です。たとえば、ある商品では(表参照)……。

・鶏肉のうま味成分(イノシン酸、グルタミン酸など)の代わりに、チキンエキスやたん白加水分解物
・コクや濃厚さを生み出す鶏の脂肪分やコラーゲンの代わりに、食用植物油や乳化剤、増粘剤(キサンタン)

を使っています。

「鶏むね肉のひき肉」をダシの素として使えば、うま味を簡単に強めると同時に減塩にもなり、さらに、後述のインフルエンザ予防にも役立つなど、まさに、一石三鳥です。それが、肉を沸騰したダシの中に直接入れて、さっとかき混ぜればたちまち完成します。やらない手はありません。

ウォッチ(2)むね肉・もも肉……鶏はインフル対策に最適

前出のひき肉を含め鶏肉は、免疫細胞を作るタンパク質源です。そして、ビタミンA含量 が豚肉や牛肉の数倍多いことも分かっています。このビタミンAは鼻や喉の粘膜の強化に役立つので、インフルエンザウィルスが粘膜を通って体内に侵入するのを防ぎます。つまり、鶏肉は、インフルエンザが流行するこの時期にこそ食べるべき食材なのです。

買い物カゴの中には 「鍋用」と表示された一口サイズの鶏もも肉が入っていました。この部位はよく動かす筋肉なので弾力があるうえ、筋肉間に脂肪が入っています。このため、むね肉とは違い、煮過ぎてもパサパサせず、コクのある味わいで噛み応えもあります。鍋の具材として、鶏むね肉同様に、鶏もも肉も大正解なのです。