広告費用換算は30億円に!?
「全国ネットのワイドショーほかテレビ番組で映像が放映されました。中には20分を超える特集のような尺(放映の長さ)もあるなど想定以上でした」と世耕さん。
そもそも、モーニング娘。のプロデューサーが出身校の入学式を手掛け、祝辞を述べるという企画だけでも話題になるだろう。そんな矢先、つんく♂さんの咽頭がんの手術などの事態が生じてしまう……が、そこを逆手にとり、咽頭がんを発表してもらった。するとますますマスコミの興味を集め、きちんとした試算はでていないものの、世耕さんが「30億くらいの換算になるのではないか」というほどテレビで取り上げられた。
「何か大きなメリットがあるわけではありません。それでも、今まで近畿大学を知らなかった人たちに、結果的にリーチできたことは大変ありがたい」と世耕さんはいう。まずは人に知ってもらわないことには、いい学生も集まってこない。
だが、人に知ってもらうためには広告を打つなど経費がかかる。かけた経費以上の効果を生むために、マスコミやSNSの広がりを展開に組み込むことで、さらに効果を高められる。もちろん、つんく♂さんのギャラが発生しているだろうが、億という効果から考えるとかなりの費用対効果だ。これも、“投資のあるべき姿”のひとつだろう。
こうして旧態依然としたアカデミックという名の池に、新しい発想という大きな石を投げ込んでは、しぶきを放ち波紋を呼ぶ。古い慣習を破りタブーに切りこむことはそうたやすくないが、常に一石を投じるだけの価値は十分に得られているようだ。
そして次の一石は、教科書のアマゾンでの販売だ。その波紋として、日本では敬遠されがちな「学生のクレジットカード保持」を推奨する流れになっていく。