「英語はスポーツ」という意味

【三宅】それは聞き慣れてないからですか。

【福原】そうです。日本では、英語学校でも綺麗な英語をしゃべる人しかいないので、そんな発音でないと何を言っているのかさっぱりわからないわけですよ。議論に参加できなくて、本当に、最初の1年間は思い起こすのも悪夢という状態でした。

もう、生まれて初めて胃けいれんを起こしたのもそのときですし、成績も最悪。下位の2割が自動的に退学になるなのに、私はそのあたりをうろちょろしていたわけです。企業派遣で退学になったら「まずいな」と思って、何をやったかというと、自分がしゃべれないので、常に24時間、英語で考えようと。独り言も英語、歩いているときも英語で考え、誰かに話しかけられたら、日本語を全ての思考から消すということを必死に行って危機を切り抜けました。

【三宅】そういう話は非常に面白い。これから留学しようという人にも大いに参考になります。

【福原】たとえばTOEFLなら、社内の留学生試験を受けるための550点が必要でした。留学に行く最終選考までに610点を超えるのがターゲットでありました。私は初めて受けて460点ぐらいしかなくて、何度受けても530点を超えられなかった。最終チャンスまで2カ月しかないというところで、出た点数が526点で、あと24点というのが意外にきついわけです。

そのときに気が狂ったように、TOEFLゼミナールから出ている単語帳を丸暗記してみようと思い立ちました。もう、寝る時間は3時間ぐらいにして、全部空いている時間をそれに費やしたわけです。会社の昼休みも単語帳を手離さない。その結果、一気に570点まで上がったんです。その成功体験っていうのが大きくて「努力すれば英語って伸びるんだな」と実感しました。

だから、INSEADのケースでも「もうだめかもしれないけど、あのTOEFLで奇跡を起こしたから、もう1回奇跡が起こるかもしれないなっていう思いでがむしゃらにやれましたね。ですから、英語はもう気合いだって思います(笑)。

【三宅】私は「英語はスポーツ」だと言っています。

【福原】スポーツだと思います。

【三宅】筋トレですよね。

【福原】筋トレだと思います(笑)。

【三宅】今の話は英語学習者にとって非常に参考になります。英語を長くコツコツやるのがいいという考えもあるのですが、実はですね、英語力は何もやらないと落ちるだけなので、コツコツやるのはなんとか現状を維持するのが精一杯。人生のある時期、集中して勉強することが英語力を飛躍的に伸ばすことになります。

【福原】それはもう絶対的に賛成ですね。

(岡村繁雄=構成 澁谷高晴=撮影)
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