正社員の需要が落ち込む仏、蘭
世界24カ国の主要都市に拠点を置き、人材紹介サービスを手がけるロバート・ウォルターズ。日本では、2000年からサービスを開始している。経営の現場でグローバル人材の確保が急がれるいま、その動向を、グループCEOのロバート・ウォルターズ氏に聞いた。
──日本におけるグローバル人材の転職市場はどのような状況か。
【ロバート・ウォルターズ】当社では、日本においてバイリンガル・スペシャリストに特化した人材紹介を得意分野としている。バイリンガル・スペシャリストとは、2カ国語以上を話し、かつプロフェッショナルな能力を有する人たちを指す。彼らを、正社員あるいは派遣・契約という雇用系態でクライアントに斡旋してきた。こうした人材は日本に限らず、世界のどの国、地域においても恒常的に不足している。
ただし、たとえば中国の景気失速に押されて、オーストラリアの景況感が下がったとすると、やはり雇う側も慎重になり、需要も多少は落ち込む。それでも、バイリンガルではない人材に比べ、グローバル人材の需要が景気の影響を受けにくいことは確かだ。
──求人数が伸びている国、そうでない国はどこか。
【ロバート・ウォルターズ】マレーシア、シンガポールを筆頭に、アジア全体で求人需要が高まっている。日本も堅調で、我々の調査では、14年第3四半期(7~9月)の求人広告数が、前年同期に比べ20%増加した。日本でも、語学が堪能かつプロフェッショナルなスキルを持ったグローバル人材への需要は高い。いま、そうした人材は売り手市場といっていい。
逆に低調なのが、フランスとオランダだ。ここでは正社員の市場が落ち込み、非正規雇用の契約数が伸びている。おそらく、ユーロ圏の景気への信頼感がいまひとつで「仕事があるだけで感謝しよう」という気持ちになっているからだろう。
日本人は正社員志向が強い。ただ、非正規社員が減っているかというと必ずしもそうではなく、過去1~2年ぐらいを見ると、こちらの数字も伸びている。